総務省が5年ごとに行っている住宅・土地統計調査によると、2023年10月時点での宮崎県内の空き家の数は9万1000戸で、空き家率は全国平均の13.8%より高い16.3%。県内の空き家の数は右肩上がりだ。相続した家をどうする?不動産のプロに聞いた。

所有者と利用希望者をつなぐ「空き家バンク」

空き家増加の背景には、1人暮らしの高齢者が亡くなった後に、家が放置されるケースが増えていることなどが挙げられる。空き家の管理が不十分だと倒壊や景観・治安の悪化につながる。

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こうした事態を防ごうと、各市町村が取り組んでいるのが、空き家の所有者と利用希望者をつなぐ「空き家バンク」だ。

宮崎市では、不動産事業者の団体と連携し、空き家についての不安などを無料で相談できる体制を構築している。

2024年4月、宮崎市が県内の不動産事業者で作る団体「REC宮崎」と共催で開いた空き家活用セミナー。想定を超える70人あまりが参加した。

セミナーに参加した理由は?

参加者は、「主人が施設に入って私1人で広い家で住んでいるものだから、何とか活用できないかなと。売るなりいろいろ考えているんですけど。維持費がかかるから。子供もいるけど住むの嫌だと言われていて」「母が倒れてしまって1人暮らしをしていて、空き家ができてしまって。母の所に住みながらとなると私たちの家の方が空き家になってしまう。どっちをどう有効活用していったら良いのか」などと、空き家についての悩みを語った。

相続や終活の際に直面する空き家管理の問題。REC宮崎は2018年から宮崎市の委託を受けて「空き家バンク」を運営。賃貸や売買の空き家の登録だけでなく、無料相談も実施している。

REC宮崎の後藤幸宏副会長は、「空き家を売りたい、貸したいと、ニーズが明確な方もいらっしゃるが、それ以外の近隣境界のトラブルや個別の相続の件でのトラブル、4月1日から相続登記の義務化も始まっているので、そういったメニューに関しても広く相談を受けている」と話した。

フルリフォームした家を見学

実際にどんな事例があるのか、空き家バンクに登録された住宅を訪れた。

外観は古めかしい感じがしたが、中は床から壁紙まで、きれいにフルリフォームされているとの事だ。

元々は母親から相続されて姉妹が所有していたが、2人とも県外に住んでいて、当初は建物内も外も残置物でいっぱいになっている状態だったという。

REC宮崎・飯干光二さん:
県外に住む姉妹の「何から手をつければいいか分からない」という相談から始まったケース。更地での販売になると、荷物の処分や建物の解体費用が販売価格を上回りそうだったため、土地と建物を不動産業者が買い取った。また荷物の処分も不動産業者で行い、相談から対応までにかかった期間はおよそ2か月。持ち主には少額だったが、買い取り金を支払うことができた。

飯干さんによると、高齢化社会の影響か、確実に案件は増えてきていて、ご両親(家の所有者)が施設に入っている場合やその方(両親)に判断能力がない場合は裁判所で後見人の手続きをとらないとそこから先に進めないということもあるそうだ。

空き家をどういうふうにするのか。早い段階で方向性だけでも決めておくことが良いのではないか。

視聴者の皆さんの「困りごと」は?

「空き家に関する困りごと」をテーマに、視聴者の皆さんからメッセージが届いた。

50代女性 てるてる坊主さん:
実家が現在空き家状態です。荷物も家族で暮らしていた時のままで、どうにかしたいけれど片付けから始めなければならず、気が重いです。母が亡くなってから実家を処分しようと思っていますが、2024年4月からの名義変更問題もあり、どうしていいのか悩んでいます。

てるてる坊主さんのメッセージにあった、「2024年4月からの名義変更問題」は、相続登記の義務化のこと。取材にご協力いただいた、REC宮崎の飯干さんからコメントをいただいた。

REC宮崎・飯干光二さん:
相続登記の義務化については、不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記を行うことが法律上の義務になった。相続人の間で早めに遺産分割の話し合いを行い、専門家である司法書士に登記の相談を行いましょう。

実家の処分をご検討であれば、不動産業者にまとめて相談を行う方法もある。
ご実家の売却査定はもちろん、相続登記を行う司法書士のご紹介、遺品整理や買い取り・引き取りなどを行う専門業者の手配まで行える。

まずは査定とお見積りだけでも相談されてはいかがだろうか?

木城町60代女性 ばあばあさん
実家が空き家です。中にも荷物がたくさんあって片付けするにしても大変で、そのままにしてあります。固定資産税はそんなに高くはありませんが、家を壊したりする費用も100万円くらいはかかるでしょうね…。

REC宮崎・飯干光二さん
解体業者によって費用は異なるが、一般的な木造住宅であれば、100万円~120万円くらい。敷地内の樹木やブロック塀など撤去するものが多ければ、150万円近くかかる場合もある。

ただ、解体費用は安ければ良いというものではなくて、多少高めでも仕事がきれいに出来る業者を選んだ方が良い。養生が不十分でご近所に解体の破片やホコリで迷惑をかけてしまっては、後々の近所付き合いにも影響が出てしまう。

ちなみに家を崩してしまうと、土地についての固定資産税の軽減措置は受けられなくなり、土地の税額が高くなる。解体した建物の固定資産税と都市計画税はかからなくなるが、どのタイミングで解体するのかも、よく考える必要がある。

ご両親が健康、健全なうちに、相続の話をするのは気が引けると思うが、専門家に相談することで、こうしたアドバイスを受けることができる。

宮崎市の空き家に関するREC宮崎への相談は無料なので、この機会に家の相続や空き家のことについて、考える機会にしてはいかがだろうか。

(テレビ宮崎)

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