愛媛・松山市の土砂崩れで3人が死亡した現場では、18日も復旧作業が続いていた。現場近くのマンションでは断水も続いていて、11世帯19人が避難所で生活しているという。
そんな中、2023年7月の大雨被害で修復工事の遅れが指摘されるなど、住民からは「天災でなく人災」との声が上がり、修復工事を巡っては、松山市と文化庁の間で認識のずれも判明している。

ガス復旧も断水が続く…11世帯19人が避難所生活

18日も復旧作業が進められていた愛媛・松山市の土砂崩れ現場。現場近くのマンションでは、同日から一部でガスが復旧した。

支援の情報が記載された掲示板
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一方、水を貯める受水槽が壊れた影響で、断水は続いていた。

マンション10階の住人・矢田百合子さん(78)は「お水はまだなんよ。ほやからお風呂もダメ」と現状について説明した。

断水により、避難生活を選ぶ人もいて、松山市によると、現在32世帯65人に避難指示が出ていて、市内3カ所の避難所に11世帯19人が避難しているという。

大雨被害1年間放置で亀裂発生か

ここからは、フジテレビ・立石修 解説委員室長が解説する。

青井実 キャスター:
先週末に愛媛・松山市を襲った土砂崩れ、3人の方が亡くなるなど大きな被害が出ていますが、「天災ではなく人災」との声も出ています。

大きな木が窓を突き破ったマンションの一室
大きな木が窓を突き破ったマンションの一室

立石修 解説委員室長:
また、2023年7月による大雨による被害の修復工事を巡り、松山市と文化財を管理する文化庁の間で認識のずれが発覚しました。

遠藤玲子 キャスター:
土砂災害からまもなく一週間経ちますが、未だに多くの市民が大変な生活を強いられています。被害を受けたマンションでは、建物自体は大丈夫でも中の様子を見てみると、大きな木が窓を突き破って部屋の中に倒れています。
さらに、隣の部屋の窓ガラスも割れ室内に飛び散るなど、住居内は生活できる状態ではありません。

立石 解説委員室長:
また土砂を受けなかった上層階でもマンションの受水槽が土砂で壊れたため、断水していて、住民は給水車から汲んだ水を浴槽に貯めて洗濯やトイレに使っています。そんな中、住民からは「天災ではなく人災」という声が上がっています。

大雨被害で亀裂の入った道路
大雨被害で亀裂の入った道路

遠藤キャスター:
実は松山城では2023年7月にも大雨が降って、頂上付近の「緊急車両道路」が傾くなどの被害が確認されていました。ただ現場は1年も放置され、その間に割れ目も出てきました。

青井キャスター:
これは放置されて、亀裂が入ったということですか?

立石解説委員室長:
時間が経って、亀裂が出てきたということです。

遠藤キャスター:
被害が確認されたのは、2023年7月のことでしたが、工事に着手したのは、2024年7月に入ってからでした。

現場近くに住む矢田共行さん:
これはもう(自然)災害ではないと思うよ。1年前に大雨が降った時も道路が崩れかかっとった。早い時から(工事を)していたらいいんやけども。

立石解説委員室長:
去年の大雨被害を放置していたことが、今回の土砂崩れに繋がったのではと住民は指摘しています。

松山市から"緊急性高い”と申し出なし

青井キャスター:
大きな亀裂ですが、何故1年も放置されていたのでしょうか?

遠藤キャスター:
松山市はFNNの取材に対して「松山城は国の史跡文化財なので、文化庁による発掘調査や許可が必要。許可が下りたのが2024年5月だった」と説明しました。

松山市・野志克仁市長:
松山市としては、早く工事をしたいという思いはもちろんございます。(ただ)国の史跡文化財なので「文化庁の許可が必要なんだ」と。指示される発掘調査が必要なんだと聞いています。

立石解説委員室長:
市長はこのように説明していますが、FNNが文化庁に取材したところ双方の認識が大きく異なることが分かりました。

文化庁は、大雨から4カ月後の2023年11月に松山市から「地盤調査の要請」が出され、12月に文化庁はこれを許可したと説明しています。

それから4カ月後の2024年4月に松山市から「現状変更の許可要請」=工事の要請が出され、文化庁は5月に許可を出しています。要請がある度に、文化庁は翌月に許可は出しています。

文化庁は「災害など緊急性を要する場合は、審議会などを経ずに早急に許可を出す」と答えましたが、松山市から文化庁に対して崖崩れの危険性があるなどの緊急性が高いとの申し出は一切無かったとのことで、認識が双方で大きくずれてしまっていました。

松山市と原因を調査している愛媛大学
松山市と原因を調査している愛媛大学

遠藤キャスター:
現在、松山市と愛媛大学などは原因を調査していますが、愛媛大学は「メカニズムが複雑なため、色んな方面から多角的に検討していく必要がある」としています。

立石解説委員室長:
一義的には住民の安全について、緊急性を汲み取るくのは自治体の責務かと思います。3人が亡くなっていて、多くの住民も大変な状況です。早急に何が起きたのか解明が求められています。

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
これまでの松山市の説明は、工事と土砂崩れとの因果関係を結びつけずに、責任を回避したい思惑を感じます。松山市の危険性に対する認識が十分だったのか、しっかりと検証する必要があると思います。
(「イット!」 7月18日放送より)

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