梅雨やこれから来る台風など、雨の日の自動車の運転は注意が必要。そこで、雨の日の運転で気を付けなければならないことをJAF・日本自動車連盟山形支部に聞いた。

豪雨の際の見え方 JAFが検証

台風やゲリラ豪雨による大雨の中、車を運転する場合には前方の視界が悪くなり見えにくくなる。

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豪雨の時、ドライバーから前方の車や歩行者がどのように見えるのか、JAFが検証したところ、昼間に1時間当たり80mmの雨が降った場合、時速40kmで走行するテスト車が停止できた位置は、テールランプが点灯した車の場合60.0メートル手前で停止できたのに対し、無灯火は39.2メートル手前での停止となり20.8メートルの差があった。

JAF山形支部・野川智伸さんによると「ライトが光っていれば、『ここにいるよ』と知らせる形になるので、見え方は全然変わってくる」という。

テスト会場の照明を落として、夜間を想定し同じテストを実施したところ、テールランプを点灯した車両の場合53.9メートル手前で停止したものの、無灯火では24.1メートル手前で停止できた。昼間と比べるとテールランプが点灯した車両の場合6.1メートル近づいたのに対し、無灯火の車両では15.1メートルも近づく結果となった。

この結果について野川さんは「ライトを下向きでつけても40メートル先しか照らせないので、40メートル先で気づいてもらうか、気づいてからブレーキを踏むまでの時間があるので、どんどん近づいてしまうというのがあると思う」と推測した。

夜間の黒い服は“発見かなり遅れる”

また走行時、前方にいる歩行者の服の色が違う場合はどうだろうか?

昼間を想定したテストで、白い服と黒い服のマネキンが前にいて、1時間当たりの雨量30mmで同じように走ってみると、白い服は62.9メートル手前で停止できたのに対し、黒い服は38.3メートル手前で停止できた。停止距離の差は24.6メートルも違いが出ている。

野川さんは「色の違いで明るい色であればより早く発見されて、黒い色、暗い色であれば発見されにくいというのがこの結果から分かると思う」と話した。

さらに夜間を想定したテストでは、安全ベストを着用したマネキンは61.0メートル手前で停止できたのに対し、黒い服のマネキンの停止は17.9メートル手前だった。夜間の黒い服はドライバーから見て発見がかなり遅れる結果となった。

「反射材をつけてもらうとドライバーからの発見はより早くなります。ドライバーが気づくのが早ければ、より手前で止まれる、ぶつかる可能性が少しでも減っていくというところにつながる」と野川さんは説明する。

速度をおさえて早めのブレーキを

そして視界のほか、タイヤの溝の深さの違いで雨が降った時の性能に差はないのだろうか?

同一メーカーのタイヤで新品、5分山、2分山、5分山スタッドレスの4種類のタイヤを使ってウエットの道路で時速60kmからの制動テストをしたところ、新品タイヤがブレーキを踏んでから16.7メートルで止まったのに対し、5分山のスタッドレスは制動距離が20.3メートルにまで伸びた。

「乾いた路面では制動距離は変わらないが、ぬれた路面では溝の違いによって、排水性とか変わってくるので制動距離が変わってくるところがある」と話す野川さん。
また、「雨の日は見にくかったり、滑りやすかったりあるので、普段よりも速度を落として走っていただくこと、そこを意識していただければ」と強調した。

大雨が続く季節、速度をおさえて早めのブレーキを心がけることが車の事故を減らす第一歩となりそうだ。

(さくらんぼテレビ)

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