JR東海道線の静岡県内区間に18年ぶりとなる新車両が投入された。腰の負担軽減を目指した座席やつかみ易くなったつり革、台数が増えた防犯カメラや通報装置など乗客の利便性や安全に配慮していて、鉄道ファンも「素晴らしい」と評価する。
東海道線に18年ぶりの新車両
この記事の画像(12枚)2024年6月1日、JR静岡駅の東海道線のホームでカメラを構える人たちの先には、この日から運行を始める新しい車両315系があった。
愛知県では既に運行しているが、静岡県内では18年ぶりの新車両投入となる。
「頭の部分がかっこいい」「これまでの電車の比べ新しくてピカピカ。カバーや床もきれい」と鉄道ファンや乗客に好評だ。
1日午後1時2分、315系は熱海駅行きの列車としてJR静岡駅から運行を始めた。
老朽化に伴い2024年度で引退する211系に代わって投入され、既に走っている313系と連結して運行する。
快適な乗り心地と防犯対策強化
315系は運行開始前の5月中旬、一足早く報道陣に公開された。
斉藤力公 記者:
こちら座席を見てみますと背もたれの部分が腰の負担を軽減するようなデザインなっていて、実際に座ってみると幅も少しゆったりとしていて長時間でも座っていられそうです
開放感のある高い天井。
さらに、運転台や指令所で映像をリアルタイムで確認できる防犯カメラや通報装置の数が増やされ、防犯対策が強化されている。
また、優先席は色で分けられているほか、車いすでも利用できるトイレがあり、バリアフリーの設備も充実している。
JR東海 運用車両課・大道正彦 課長は「乗客にはより安心して、より快適に利用してもらえる車両になっています。地域の皆様に長く愛される車両になれば」と期待を寄せる。
新車両のデビューを支えた人たち
運行開始前日の5月31日、新車両が置かれた静岡市葵区の基地には清掃道具を抱えた人が集まっていた。
快適な移動空間を提供するために作業員たちは運行を開始する315系の最後の仕上げを担う。
壁や窓、手すりなどあらゆるところを手際よくきれいにし、床には保護するための専用のコート剤を塗っていく。
車内の広告の取り付けも業務の1つで、取り付けていくにつれて普段見られる列車に変わった。
列車の顔の部分は手洗いとなる。新しい車両には鉄粉による汚れが付着しているため、入念に磨いて運行開始に備えた。
清掃作業を行った東海整備のスタッフたちは「乗客の目線で考えながら、床面や窓ガラスのほんのわずかな汚れを見逃すことのないよう細心の注意を払っています」「安全と快適な車両を追及して作業しているので安心して乗車してほしい」と話す。
つり皮・トイレ・優先席に使い易い工夫
そして、迎えた6月1日の運行開始日。新車両315系は整備基地を離れてJR静岡駅に到着した。
駅には新車両の初運行を一目見ようと大勢の鉄道ファンが駆けつけた。中には列車に乗り込み車内を撮影する人もいた。
乗客からは「新車のにおいがしてとても気持ちいい。つり革も低くてつかみ易い」「昔トイレのない車両を経験しているので、(県内の列車の)すべてに(トイレが)付くのは安心感がある。優先席が席だけはなく床の色も違うのでとてもわかりやすくていい」「従来型でも捨てがたいところはあると思うが、(新車両は)時代にあった装備になって、実際に乗り心地もかなりいいので素晴らしい」との声が聞かれた。
18年ぶりに静岡県内で投入された新型車両。
東海道線の熱海~豊橋間で運行し、11月頃からは御殿場線や身延線にも投入される予定となっている。
(テレビ静岡)