バスの運転士不足が深刻化しているバス業界。2022年に改正道路交通法が施行され、19歳以上で普通免許取得後1年以上が経ち、特別な教習を修了すればバスの運転に必要な大型二種免許が可能となった。こうした中、2023年に高校を卒業したばかりの20歳の男性が6月25日に運転士デビュー。緊張の中、無事に乗客を目的地へと送り届けた。
バス運転士に憧れ…高卒2年目の20歳がデビュー
新潟交通の営業所で6月25日、バスの運転席に座り、点検を行っていたのは運転士の本間飛向(ほんま・ひなた)さんだ。

本間さんは2023年に高校を卒業後、新潟交通に入社。5月に20歳になったばかりの本間さんだが、この日は少し緊張した様子を見せていた。
それもそのはず、この日は本間さんの運転士デビューの日。
入社してわずか1年ほどでデビューする背景にあるのが、バス業界を取り巻く深刻な運転士不足にある。

新潟交通乗合バス部運転保安課の阿部聡史課長は「当社も御多分にもれず、運転士不足があるので、どんどん若い人に入ってきていただけるとうれしい」と話す。
この運転士不足の状況を打開するため、2022年に改正道路交通法が施行され、19歳以上で普通免許取得後1年以上が経ち、特別な教習を修了すれば、バスの運転に必要な大型二種免許が可能になった。

幼いころからバスの運転士になるのが夢だったという本間さん。
「運転士さんの制服とか運転の仕方とか接客態度とか、そういったものを見てすごくかっこいいなと思ったのが始まり」
バスの運転士になるべく、入社後は窓口業務を行いながら、バスの運転研修を受けてきた。
緊張の中…運転士として一歩!
本間飛向さん:
私は発進時には「発車します」の案内と指さし確認をしてからゆっくり発車します
先輩:
それでは気を付けてお願い致します
本間飛向さん:
いってきます
点呼を終えて、いよいよデビューのときを迎える。

この日、本間さんが担当することになったのは、新潟駅から県スポーツ公園に直行するイベントの臨時便だ。
車内アナウンス:
お待たせ致しました。スポーツ公園バスターミナル行き直行です。どうぞお乗りください

プロ野球の試合を観戦するため、ハードオフエコスタジアムに向かう50人ほどが乗車!
車内アナウンス:
お待たせ致しました。発車します。おつかまりください

緊張の中、運転士としての一歩を踏み出した。
「急ハンドル・急ブレーキが発生しないように、余裕を持った運転を心がけるというところに気を付けたい」

関門と話していた交差点の右折もスムーズに行い、約20分をかけて県スポーツ公園に無事到着。
「緊張がすごく勝ったが、なんとか事故は起こさずに止まれたので、次からもうちょっと乗り心地とか改善して、もうちょっとうまく乗れたらなと思っている」
運転士不足解消へ…若手の活躍に期待
運転士不足の解消に向け、重要な役割を担う若手の活躍。
阿部課長は「初任給の引き上げを行ったし、これから待遇や労働環境の改善を進めていきたい」と話した。

若者が後に続いてくれるように…本間さんは運転士としての成長を誓った。
「降りられるお客様みなさんに『ありがとう』と言われるような運転士になりたい」
(NST新潟総合テレビ)