宮崎大学・地域資源創成学部からベンチャー企業が誕生した。立ち上げたのは3人の准教授。会社名は「地域資源ブランディング株式会社」地域にフォーカスするこの会社の事業内容とは?
宮崎大学で生まれたベンチャー企業、地域資源ブランディング株式会社。代表を務めるのは地域資源創成学部の3人の准教授である。
3人の共通点は…「実務家教員」
実務家教員とは、企業などで働いた経験を生かし、知識やスキルなどを学生たちに伝える教員の事だ。
池田中也さんは、大手広告代理店でアートディレクターとして活躍。現在も宮崎大学で教鞭を執りながら、ポスターやパンフレットのデザインを手掛けている。
田中雄之さんは、映画やCMなどのクリエイティブ分野で活躍。プロデューサーだけでなく脚本家などもつとめるマルチプレーヤーだ。
上場企業などの役員を務めてきた土屋有さんはマーケティングが専門。全国でも高い評価を受ける起業家教育の専門家である。
この記事の画像(5枚)3人が出資して設立した「地域資源ブランディング株式会社」のホームページには「地域資源にフォーカスし、発掘・創出・発展に対してマーケティング・デザイン・映像によるアプローチを行う」と書いてある。
少し、難しい…。
池田中也さん:例えばフランスに行ったらフランスのものを食べたいのに、何かちょっとアレンジしたフランス料理が出てくると、行った感がないというか。せっかく宮崎にはるばる来て食べるんだったら、宮崎の物を食べたいのかなと思う。
田中雄之さん:良くも悪くも宮崎にあるものは宮崎にしかなくて、宮崎はこれしかないから、宮崎がもっと地域資源で勝負するしかないという腹くくりをすれば、動きがいっぱいある。
では、地域資源で勝負するためにはどうすればいいか尋ねると…
やっぱり「ストーリー」
土屋有さん:どうやったら食べたくなるかとか、ストーリーを売ってないかって話になるのに、そうじゃない。
その例として挙がったのが、南国宮崎を象徴する観光地・青島名物「ういろう」だった。
土屋さんと池田さんは、一緒に青島のういろうを全部食べて、全ての店舗を回って話を聞いたという。授業の一環で学生と研究した際に知ったういろうだったが、余った時の地元の人の食べ方に興味を持った。地元の人はういろうが余った時、どんな食べ方をするのだろう?
野中商店 押川千香店主:素揚げにしたり焼いたら美味しい。
土屋有さん:焼いて食べる。量多くて困ったなと思うけど、大丈夫だよ、焼いて食べられるよと言った瞬間に価値が1個生まれていくし、それが入ったから見えてきて表現情緒が出てくる。地元のおじいちゃんね、これで焼酎飲んでるよ、と言ったときにあててみたくなる。
田中雄之さん:それが食べたいと思う自分が心の中にいることを知らない、要は欲求が潜在化してる人たちにちゃんとどう届けてあげるかってことが、我々ができること。
このようにこの会社では、依頼を受けた上で地域資源の価値向上の課題を見つけ、それを誰に届けたいのか誰を求めているのか調査し、届けるための効果的な方法を提案する。
田中雄之さん:この時僕らが間に入ることで、出会えてよかった人、やってもらってよかった人たちが生まれればいい。ちゃんと繋がれてよかったっていう「マッチングアプリ」みたいなもの。
土屋有さん:マッチングアプリの表現が、デザインだったり映像だったり企画だったりメッセージだとか。
池田中也さん:「あなたの魅力はここだよね」ということをちゃんと言ってあげるみたいなことをする。その人なりの磨きをかけるってこと。多分ここはいいんだよ、だからこうした方がいいというようなアシスト・アドバイスができるっていうことになる。
そして地域資源として欠かせないのが人材である。この会社では起業家教育など人材育成のプログラムも提供していてすでに県外企業から依頼がきている。
(テレビ宮崎)