創業96年 老舗の味「福光屋食堂」

夏のスタミナ食と言えば「ウナギのかば焼き」…だが、富山県西部・南砺市や小矢部市では、ウナギ代わりにドジョウを食べる風習がある。
90年以上続く老舗の味とそのルーツを取材した。

この記事の画像(12枚)

南砺市本町にある「福光屋食堂」。
創業は大正13年。96年の長い歴史を持ち、街の人に親しまれてきた定食屋さん。

福光屋食堂では、夏のこの季節、ドジョウのかば焼きが旬を迎えている。
調理をするのは、3代目店主の竹本弘さん。50年間以上、店を守り続けてきた。

仕込み作業をする竹本さん。
青森県産の天然のドジョウをいけすから取り出し、地元・福光の炭を使い、じっくりと焼き上げる。

そして、味の秘訣(ひけつ)は…

福光屋食堂店主 竹本弘さん:
たれは大正13年から続いている。私だけでも50年以上、継ぎ足して使っている。脂の多いウナギに比べ、ドジョウは淡泊

初代から受け継いだたれを、継ぎ足しながら使っている。
しょうゆにザラメと水あめを加えたたれは、甘く深みのある味が食欲をそそる。

福光屋食堂店主 竹本弘さん:
小骨があるから(かみごたえがある)

始まりは明治初期…キリシタンから

実は、このドジョウのかば焼き、県西部で食べられ始めた歴史は明治初期までさかのぼる。

石川県の歴史が書かれた本の中では、金沢市の卯辰山にいたキリシタンが、近くの小川のドジョウをかば焼きにして売り歩いたのが始まりだと紹介している。

これが富山県の西部まで伝わり、現在でも南砺市周辺で食べられている。

郷土の味「何とか残したい」店主の思い

しかし、このドジョウのかば焼き、最近は食べる人が減ってきているという。

福光屋食堂店主 竹本弘さん:
昔に比べて、売れ行きは悪くなっている。昔は80代くらいの人が好んで食べていたが、最近は歯が悪くなってかめない。そして、若い人が食べなくなったので売れ行きは落ちている。跡継ぎもいない

長く続く伝統の味を守り続けてきた竹本さん、郷土の味を何とか残していきたいと考えている。

福光屋食堂店主 竹本弘さん:
若い人に食べてもらいたい。90年も続いているので、100年目までとは言わないにしても、もう2~3年は頑張りたい

(富山テレビ)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。