福岡県のキウイ農園に“幻の生物”のような「黄金のヘビ」が現れた。絶滅危惧種というだけでなく、珍しい特徴をもつヘビが、成長するまで生き残っていたのは、まさに“奇跡”だと専門家は語る。
新しく展示される“珍しい生き物”
福岡・北九州市小倉北区にある「北九州市ほたる館」にはホタルだけでなく、日本一小さいといわれるカヤネズミやトノサマガエルなど、様々な生き物が展示されている。

そして6月1日からは“ある珍しい生き物”の飼育が始まった。

「最初に画像を見たときは、足が震えたというか、こんなものが本当に世の中にいるのかというか…、まさに“幻のヘビ”ですね」と興奮を隠さずに話すのは、ほたる館の鵜澤拓哉館長だ。

生き物に詳しい館長も、これまでに見たことがないという“幻のヘビ”とは、どんなヘビなのか?
取材班は早速、ヘビが発見されたという場所へと向かった。
キウイ農園に“黄金色のヘビ”現る
その現場は福岡県の南部、緑の景色広がる八女市立花町だ。
取材班が訪ねたのは、“幻のヘビ”を発見したという地元の農家、三宅清一郎さん(85)。三宅さんは、立花町が全国屈指の生産量を誇るキウイの農園を40年ほど営んでいる。

「ちょうどここらへんで発見しました」と農道を指差す三宅さん。「作業をしていて、ふっと下を見たら、なんか黄色いやつがいる。それこそキレイで黄金色といいますか…」と話した。
黄金色?一体、どんなヘビなのか?三宅さんに画像を見せてもらうと。

そのヘビは全身が真っ黄色で、太陽のもとでは光り輝いているようにも見える。三宅さんはヘビは苦手だが、あまりにもキレイだったため、持ち帰ったという。
発見されたヘビは、その後、福岡市動物園を通じて北九州市のほたる館へと運ばれた。

「こちらが幻のヘビです」と鵜澤館長が見せてくれたヘビは、スマホの画像で見るよりも鮮やかな色彩だ。

全身は輝くような黄色。目は丸く赤色で、どことなく愛らしい表情でこちらを見つめる。体長は40cmほどだが、大人(成体)のヘビだという。

「『うおおおお』っていう感じだった。すごいものを見た感覚になりました」と、鵜澤拓哉館長がへビを見たときの感想を話してくれた。
絶滅危惧種でアルビノという個体
ヘビの正体は、福岡県の絶滅危惧種「タカチホヘビ」である。

本来は褐色で、夜行性のため、人前にめったに姿を現さないといわれていて、毒はない。

なぜ黄色い体なのかというと「遺伝子の組み換えのときに失敗をしてしまったようなかたちになるので、そこで色素が欠乏してしまって本来、体にあるはずのメラニン色素が体から一切なくなってしまうことによってできます。いわゆる体の色素が抜けてしまっているアルビノというものの個体になります」と鵜澤館長が説明してくれた。

色が目立つアルビノのヘビは野生に溶け込めず捕食されやすいため、成長するまで生き残っていたのは、まさに「奇跡」だと鵜澤館長は話す。

北九州市ほたる館では長期飼育の準備が整い次第、夏休みまでには常設展示に移行する予定で「飼育環境を整えつつ、皆さまに見ていただけるようにしていきたい」としている。
(テレビ西日本)