山形県内各地でクマの出没が相次ぐ中、村山市は、猟友会がクマを駆除・捕獲した時に支給する「謝礼金」を大幅に引き上げる予算案を市議会に提出した。猟銃の弾丸の価格高騰や猟友会のなり手不足への対策だとしている。

猟友会への謝礼金増額で担い手確保へ

2024年に入って、山形県内ではクマの目撃が相次ぎ、5月末の時点で26件と、2003年の統計開始以来“過去最多”となっている。

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5月29日には、米沢市中心部にクマが出没し、小・中学校で一斉下校などの対応がとられた。
こうした中、村山市は、猟友会がクマやイノシシの駆除・捕獲をした場合に支給している謝礼金を大幅に引き上げる方針で、6月4日に開会した市議会に、謝礼金の増額分・約90万円を盛り込んだ補正予算案を提出した。

これまでは、大人のクマやイノシシを捕獲した際は、日当と謝礼金を合わせて1頭あたり1万円だった。これを、クマは3万円・イノシシは2万円と大幅に増額する。また、子どものクマ・イノシシの場合も、これまでの2000円から1万円に引き上げる。

会員が減っても…駆除の依頼は増加

今回の、謝礼金の引き上げ議案の提出は、地元猟友会からの要望を受けてのことだ。

現状について村山市猟友会の早坂和芳会長(72)は、「諸外国の紛争関係で弾丸の値段が上がっている。射撃場の使用料も若干上がってきている。猟友会として、少しでも支援金を上げていただければとお願いした」と説明する。

早坂さんによると、弾丸の値段はこれまでの約1.5倍に値上がりし、1発で1000円を超えるという。村山市猟友会の会員は約30年前に最大で約130人いたが、現在は高齢化などで51人と、ピーク時の4割にまで激減した。

早坂さんは「若い人もいるがほとんどが70~80歳。年配なので辞めていく人が毎年1~2人増えている」と話す。

一方で、クマの目撃数の増加に伴い、村山市から猟友会への依頼件数は、2022年度が12件だったのに対し2023年度は30件と、2.5倍に急増している。猟友会メンバーの人数は減っているのに、依頼は増える現状に対応するためにも、謝礼金の増額で担い手が増えることを期待したいという。

早坂さんは、「増額案にみんな大変喜んでいる。段々減っていきますので、今回を契機に若い人が興味を持って会員になってくれればありがたい」と語った。

山形県内の謝礼金状況

この問題は村山市だけに限らない。北海道・奈井江町では5月、猟友会が「報酬の低さ」などを理由に、町から依頼されたヒグマ駆除を辞退した。「猟友会のなり手不足」は全国的に深刻となっている。

猟友会への謝礼金を増やすのは、村山市だけではない。県内の各市町村の状況をまとめた。

山形県内の猟友会への報酬状況(村上市を除く)
山形県内の猟友会への報酬状況(村上市を除く)

【すでに増額 5市町村】
上山市・小国町・大石田町・大蔵村・戸沢村
※増額したのは、多くがここ数年以内

【増額検討中 10市町村】
長井市・天童市・尾花沢市・南陽市・山辺町・中山町・最上町・舟形町・飯豊町・鮭川村
※このうち中山町は、村山市と同様、5月12日からの町議会に謝礼金増額の予算案を提出する予定。

【未定 19市町】
山形市・米沢市・酒田市・鶴岡市・新庄市・寒河江市・東根市・庄内町・河北町・西川町・朝日町・大江町・金山町・真室川町・高畠町・遊佐町・三川町・白鷹町・川西町

(さくらんぼテレビ)

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