山形・白鷹町では、特産のアユを天敵・ブラックバスから守ろうと、5月から釣り大会が行われている。アユを守るだけではなく、釣ったブラックバスの有効活用も期待される取り組みを取材した。
“天敵”ブラックバスを釣る大会が開催
白鷹町・道の駅白鷹ヤナ公園あゆ茶屋で5月20日から始まったのは、町の特産であるアユを守るため、外来種で天敵のブラックバスを釣る「ロングラン釣り大会」。
この記事の画像(7枚)2020年に始まったこの釣り大会は、町と観光協会・漁協・あゆ茶屋が協力して行っていて、約5カ月の開催期間中、指定された地区で釣れたブラックバスを1匹300円で買い取っている。
町では、約10年前、シーズン中に約1万匹釣れていたアユが、繁殖したブラックバスに食べられ、一時、10分の1の1000匹にまで落ち込んだ。こうした危機を救おうと始まったのがこの釣り大会だ。
その成果は着実に現れていて、2023年、町で釣れたアユは2000匹にまで回復している。
2024年は初日から約30人が釣り大会に参加しているそうで、川沿いを訪れると、ブラックバスを狙う釣り人の姿が見られた。
白鷹町観光協会・伊藤和貴さん:
アユ漁獲量1万匹を目指している。険しいとは思うが、“継続は力なり”だと思っているので今後も続けていきたい
伊藤さんは、「釣りが好きという方・未成年の方も参加できるので、皆さんに釣っていただきたい」と呼びかける。
アユを守り生き物の命をつなぐ
「ロングラン釣り大会」を通じて、毎年1000匹以上のブラックバスが集まる。これまではすべて廃棄されていたが、町民・今野正明さんが声を上げ、2023年から、買い取ったブラックバスを粉末にして“土壌改良”に活用する取り組みが始まった。
白鷹町民・今野正明さん:
命というのは1つしかない。ブラックバスの命も1つしかない。それをちゃんと最後まで、その命を何かの形で生かしてやらないと。皆で楽しんでいけるようなシステムになっていけばおもしろい
今野さんは今後、鶴岡高専の生徒と協力して、ブラックバスの魚粉を月山高原のひまわり畑にまくなど、さまざまな活用を予定しているという。
アユを守り生き物の命をつなぐブラックバス釣り大会は、先着100人のエントリー限定で10月末まで行われる。
(さくらんぼテレビ)