就活は学生にとって、進路を決める重要なイベントだが、広島大学でちょっと変わった就活イベントが開かれた。学食で学生と企業が立食スタイルで交流するスタイル。新卒就職者の3人に1人が3年目までに会社を辞めているという調査もあるが、その原因の一つ、就職のミスマッチを防ぐ効果もありそうだ。

学食の料理代を企業が負担の就活イベント

東広島市の広島大学で5月25日に開かれた就活イベントは、名付けて「ゴチ食堂」。なぜ「ゴチ食堂」かというと、企業側が食事代を含めた費用を負担し、学生は無料だからだ。

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このセミナーは、学生のためのフードバンクなどを開催している学生団体シードットが企画した。

学生団体シードット・江口ひかるさん:
カジュアルな場でないと出てこない本音や、企業の人と理念など、給料ではないもっと知るべきことがあるのではないかと思って、今回のような形になりました

冒頭は各企業が事業内容を説明
冒頭は各企業が事業内容を説明

参加した学生はおよそ30人で「ゴチになります」の合言葉の乾杯でスタート。最初は各社5分間の企業紹介で、ここまでは、一般的な就活イベントと同じだが、この後の流れがちょっと違う。

クイズ大会で学生と企業が交流

各企業の紹介の後は、それら企業に関係したクイズ大会となった。

クイズ:
オールドリバースという古川製作所の機械のブランド名の由来についてのクイズです。
① 川が流れるような機械だから…

ここで交流を深めるために、企業の担当者と学生がチームを組んで回答する。
企業担当者:
何番にしようか?
学生:
私は3番かなと思います

この企業紹介にちなんだクイズの優勝チームには、それぞれの企業から、料理のスペシャルメニューが贈呈される趣向になっている。こうして、お互いの距離を縮めながら、学生と企業の担当者が交流を深める。

参加した大学生:
全然違いますね。基本は会社の事業内容や従業員数や規模などを聞くと思うが、普通にプライベートのことを聞かせてもらったりができたので

古川製作所 総務部・山村憲司部長:
すごく距離感が近いです。ざっくばらんな話とか、採用の裏側みたいな話とか

Q:話すんですか?
山村部長:
ちょっとだけ

学生と企業担当者それぞれが十分交流できるよう、時間を分けて、各テーブル総当たり形式になっている。一般的な就活セミナーでは、企業のブースに学生を誘導するが、今回はその必要がないのが特徴だ。さらに、一般的な就活セミナーでは聞くことが難しい学生の本音も聞くことができる。

キーレックス 総務部・木原穂乃香さん:
学生の意見は、会社では聞けないので、こういう大学でのイベントへの参加が、情報収集という意味では、すごくよかった

対象は1・2年生 就職のミスマッチを早くから防ぐ

また、この就活イベントの対象は1・2年生のまだ就活を本格的に始めていない、いわゆる「キャリア開拓層」というところが大きな特徴だ。

大学1年生:
視野が一気に広がる感じがすごくあります。これから先に夏か秋に同じようなセミナーがあったらぜひ参加したい

冒頭でも触れたが、厚生労働省の調査では、2020年の新卒就職者は3年目までに、およそ3人に1人が離職していて、その原因の1つは、就職のミスマッチと言われている。1・2年という早い時期から就活セミナーに参加することで、ミスマッチを防ぐことが期待される。

学生団体シードット(今回のセミナーを企画)・江口ひかるさん:
先輩でも、もう会社を辞めて、違うところに行ったとか、それがポジティブな理由ではなく「結構しんどくて」と聞いたりするので、ミスマッチがない就活が欲しいということを自分たちも思っていた

大学4年生:
自分が後悔しないような就職をしたいと考えていて、新卒で入って、そのまま自分が好きなことができるような企業に入りたい

ミサワ環境技術 管理部・田邉光伸次長:
ある意味、就職活動というのは着飾った人同士の会話になるが、それより1歩前の段階で、本音でいろいろな話ができたら、就職のミスマッチもかなり防ぐことができると考えています

社会人としての選択肢は企業への就職だけではないが、就職を選んだ場合は「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、事前に企業や仕事内容を把握することが重要だ。そのために、お互いが本音で語り合える機会が増えることを期待したい。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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