福岡・大牟田市の指定暴力団「浪川会」のトップ、浪川政浩総裁(68)が2024年5月29日、警察に引退届を提出した。その2日前の27日には、浪川会と対立する久留米市の指定暴力団「道仁会」でも代替わりが行われ、福岡県内の暴力団情勢が変化を見せている。

全国の暴力団組織に影響与える存在

大牟田市の指定暴力団「浪川会」の前身は、2006年に久留米市の指定暴力団「道仁会」から脱退した組長たちが結成した「九州誠道会」だ。

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両組織は、2006年から約7年間に渡って、一般人1人を含む14人もの死者を出す熾烈(しれつ)な抗争を行い、2012年には、特定抗争指定暴力団に指定された。

浪川政浩総裁は「九州誠道会」の2代目会長として、泥沼の抗争劇をけん引した人物なのだ。2013年、「九州誠道会」の解散後、浪川総裁は後継組織「浪川会」を率いて、現在に至るまで組織の実質的トップに君臨していた。豊富な資金力で、全国の暴力団組織に影響力を持つともいわれている。

直撃取材に引退理由語らず

報道のカメラに向けて軽く会釈した浪川総裁。大牟田警察署を訪れた目的は、組織からの引退届を提出するためだった。

引退届を提出し、警察署から出てきた浪川総裁に記者が直撃した。

記者「浪川さん、なぜ今回、引退を決意されたのですか?」
浪川会・浪川政浩総裁「またあとから」
記者「組織には一切関わらない、という認識でいいですか?」
浪川会・浪川政浩総裁「…」
記者「浪川さん…」
浪川会・浪川政浩総裁「…」

「デメリットがものすごく大きい」

なぜ浪川総裁は組織からの引退を決意したのか。暴力団情勢にくわしいジャーナリストに聞いた。

暴力団に詳しいジャーナリスト・鈴木智彦さん:
社会情勢が大きく変化して、暴力団でいることにデメリットがものすごく大きい。そういうことを考えて、こういうことになったんだろうと。これから浪川会は、少しずつ小さくなっていくと思う

この2日前には、対立する「道仁会」の小林哲治4代目会長(68)が引退し、福田憲一理事長(54)が5代目として発足。両組織のトップの引退が、福岡の暴力団情勢に今後、どのような影響を及ぼすのか。警察は慎重に見極めていくとしている。

(テレビ西日本)

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