福岡・久留米市に拠点を構える指定暴力団「道仁会」が、新会長の継承式を行った。警察は、今後の組織運営に変化が出るか動向を注視するとしている。

「道仁会」新会長継承式に集った組員たち

建物の奥に見える、正装した組員の姿。2024年5月27日午前、久留米市内の施設に集まったのは、指定暴力団「道仁会」の組員たちだ。

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その理由は、「道仁会」の新会長継承式。これまでトップを務めた四代目、小林哲治会長(68)から五代目会長に指名された福田憲一理事長(54)に組織の実権が渡されたとみられている。

福岡県内に本拠地を置く5つの指定暴力団の中でも特に好戦的とされる「道仁会」。その歴史は抗争とともにあった。

結成以降、抗争を繰り返してきた「道仁会」

取材記者リポート(1978年3月):
2人が負傷、1人が死亡した久留米市の道仁会事務所前です。先ほどから戦闘服を着た組員の出入りが頻繁で、一夜明けても異様な雰囲気です

「道仁会」の結成は1971年。数々の抗争を繰り返し、その勢力は筑後地区のほか佐賀、熊本、長崎にまで拡大した。1986年には国内最大の暴力団組織「山口組」と衝突、死者9人を出す抗争事件に発展した。そして2006年には…。

取材記者リポート(2006年5月):
昨夜、久留米市と福岡市で発砲音や爆発音が相次ぎました。狙われたのは指定暴力団、道仁会の本部事務所をはじめ系列の組事務所など5カ所で、わずか15分の間に発生した連続発砲事件に、付近には緊張が走りました

2006年、「道仁会」は三代目会長の人事をめぐって組織が分裂。脱退した組長たちが福岡・大牟田市に結成した「九州誠道会」と抗争を繰り広げた。2007年には「道仁会」の三代目会長が射殺されたことで抗争はさらに激化。同じ年の11月には、佐賀・武雄市の病院で「九州誠道会」の関係者と間違われた一般人の入院患者が「道仁会」の組員から銃撃され、殺害される事件まで起きた。

組織の分裂や警察の度重なる取り締まりを受けながらも、いまだに勢力を保ち続けている「道仁会」。そしてこの日、迎えた継承式。

波多野良祐記者リポート:
継承式を終え、車が出て行きます

捜査関係者などによると、五代目を継承した福田憲一新会長は、豊富な資金力と実行力で自ら率いる「福田組」を、「道仁会」の中核を担う一大勢力にまで拡大させたという。一方で、小林哲治前会長は、いわゆる相談役の立場で組織に残るということで、警察は、今回の代替わりが組織運営にどのような変化をもたらすのか注視していくとしている。

福岡県内にある5つの指定暴力団のうち、北九州市の「工藤会」は2014年の頂上作戦以降、組員の減少が続いている。

そうした中で県警は、「道仁会」と「浪川会(九州誠道会の前身)」の壊滅を目指し、2018年、「筑後地区暴力団集中取締本部」を立ち上げた。暴力団対策部をはじめ、筑後地区を中心とした警察署などからなる200人体制で構成されていて、専門部隊による取り締まりを続けている。

(テレビ西日本)

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