韓国で28日、北朝鮮の軍事偵察衛星が爆発する瞬間の映像が公開された。
北朝鮮は打ち上げ失敗について、新たに開発したエンジンが原因だとしていて、韓国では検証不足のまま発射したとの指摘がある。
スピード開発の背景には、ロシアの存在があるという。
北朝鮮が軍事偵察衛星を発射も爆発
韓国軍が28日、北朝鮮の軍事偵察衛星が爆発する瞬間の映像を公開した。

北朝鮮は27日午後11時前、軍事偵察衛星を発射。
FNNのカメラは、衛星とみられる飛翔体(ひしょうたい)が爆発する瞬間をとらえていた。
一方、韓国軍も、衛星が爆発し白い光が広がる様子などが記録されている映像を公開した。
軍のミサイルへの探知能力を示した形で、韓国メディアは、こうした映像公開は異例だとしている。
北朝鮮は打ち上げ失敗について、新たに開発したエンジンが原因だとしているが、韓国では、日中韓首脳会談に合わせるため、北朝鮮が検証が不十分なまま発射に踏み切ったとの指摘もある。
開発スピードの加速に懸念
ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長が解説する。

——今回の打ち上げ失敗について、北朝鮮は落胆している状況なのだろうか?
軍事偵察衛星の発射は、2023年に2回失敗しており、織り込み済みだと思われる。
むしろ、北朝鮮が本気でロケット開発を進めていることが分かる。
今回の打ち上げで注視しなければいけないのは、新たに開発されたエンジンを使っていることだ。
2023年11月の打ち上げは成功していて、半年後にはもう新しいロケットを打ち上げている。
開発のスピードが、早くなっていることが気がかりだ。
ロケット開発で密接な関係
スピード開発の背景として、気になってくるのがロシアの存在だ。

2023年9月にも、金正恩総書記がロシアを訪問していた。
金正恩総書記がロシア到着後にまず最初に向かったのが、ボストーチヌイの宇宙基地だった。
ロケット開発をめぐって、ロシアと北朝鮮は密接な関係にあると思われる。
今回の衛星打ち上げでも、ロシアから大勢の技術者が北朝鮮に入り、試験をサポートしていたと韓国の聯合ニュースが伝えている。

北朝鮮から弾薬を提供し、その見返りにロシアが宇宙技術を提供するという関係になっている。
予告期間は6月4日までのため、予断を許さない状況で、日本、そしてアメリカ軍もかなり警戒している。

27日午後7時過ぎ、ロケット打ち上げ数時間前に沖縄・嘉手納基地を出発する、アメリカ軍の弾道ミサイル監視飛行機の「コブラボール」がとらえられた。
ここ数日、頻繁に離着陸を繰り返しており、アメリカ軍も新型のロケットという情報を事前に得て、厳しい監視態勢を敷いていたと考えられる。
北朝鮮は失敗の原因を突き止めるため、次の打ち上げまで時間があるとは思われるが、予断を許さない状況が続いている。
(「イット!」 5月28日放送より)