東京・品川区戸越の住宅で5月23日、母子4人が死亡し父親が負傷した事件で、番組は一家をよく知る人物を独自取材。2023年に仕事を辞めた元夫に「何か家でもできる仕事をしたら」と提案していたことが分かった。「仲良し一家」に起きた異変とはーー。

去年も今年も、楽しそうに春祭りに来ていた…

番組は、2023年4月に撮影された東京・品川区で行われた春まつりの映像を入手した。

男性:
おみこし担ぎたい人~集まってください!

東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)
東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)
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子どもみこしに集まった女の子の1人が、火事があった住宅から遺体で見つかった後藤鈴ちゃん(当時5歳)。

東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)
東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)

待ちきれないように、何度も担ぎ棒に触れる鈴ちゃんだが、その近くには、肩掛けのバッグに加え、両肩には「抱っこひも」を背負い、スマホを構えた40代父親もいた。

東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)
東京・品川区で行われた春まつりの映像(2023年4月撮影)

そして、「ワッショイ!ワッショイ!」というかけ声にのって、子どもみこしを楽しむ娘のすぐ側で、しゃがみこんで写真を撮るような仕草を見せていた。

近所の人によると、つい先月開かれた春まつりにも家族で参加していたという。

女性:
(今年も)家族皆さん来てました。子どもさんたち、みんな元気で走り回ってて。両親、眺めてる、じゃないですけど、そういう仲いい家族には見えました。

そんな絵に描いたような家族になぜ事件が起きたのかーー。

家族の知人「夫婦の出会いは職場」

東京・戸越銀座商店街近くの2階建て一軒家で5月23日に発生した火事。

鍵がかけられたその家の中では、1階・和室の布団の上で後藤鈴ちゃん(6)と、きょうだいの玲ちゃん(3)、信ちゃん(2)、母親の高波冬美さん(37)が死亡していた。

4人全員に複数の刺し傷があった一方、死因については、冬美さんと玲ちゃんは刃物による失血死、鈴ちゃんと信ちゃんは、一酸化炭素中毒とみられている。

母子が4人死亡した住宅(東京・品川区戸越)
母子が4人死亡した住宅(東京・品川区戸越)

捜査関係者によると、和室の他に、1階のリビングにも血だまりがあり、2階からも血痕が見つかったという。

また、4人と同じ和室で倒れていて、病院に搬送された40代父親は、首に傷があり、自分自身で切りつけた疑いがあるという。

番組の取材に応えた「家族をよく知る人物」は、「夫婦の出会いは職場でした。2人とも介護の仕事をしていたんです」と話す。

事件のわずか3日前に夫婦の離婚が成立していたことが分かっているが、近所の人によると、品川区戸越の一軒家で暮らし始めたのは10年以上前だという。

近隣住民:
ちょうど結婚ぐらいのタイミングで、こちらに住まわれたのは、もう10年以上たつと思います。

ここ品川区戸越は冬美さんの地元で、実家は創業50年を超える食肉卸会社を経営していて、夫婦が住んでいた一軒家は、冬美さんが相続したものだという。

ーー(夫婦の)仲はいい感じだった?
家族を知る人物:
お子さんが生まれる前は2人乗りしてバイクでお出かけするのは何度か見てました。

近所を取材しても「イクメン」と見られていたという元夫は、地域の催しにもよく参加していたという。

近隣住民:
鈴ちゃんとお父さんがマジックのワークショップに参加していました。
鈴ちゃんは髪にエクステをして服もかわいくて、おしゃれだなぁと。

介護織辞めた元夫に「家でもできる仕事をしたらと」

そんな「イクメン」ぶりの裏で、2023年、大きな変化が起きていた。

家族の知人:
元夫は去年、介護の仕事を辞め、退職金を受け取りました。
その後は家にいて、専業主夫のようになっていたみたいです。

長年勤めた介護職を辞めたという元夫。
一方で、冬美さんは介護職を続けながら元夫と分担して育児をしている様子が目撃されていた。

近隣男性:
朝、同じぐらいの時間に自転車に乗って、お父さんとかお母さんが(子どもを保育園へ)送りに行くのはよく見ていました。

元夫と交代で保育園への送り迎えをし、子どもを連れて公園にも遊びに行っていた。

娘が冬美さんの知人という近隣住民:
(冬美さんに)何度か会ってね。「やっと友達になったのに」なんて娘がね。(冬美さんが)仲良くね、してくれてね。「すごく奥さんもいい人だ」なんて話していましたけど。

そんな冬美さんは、2023年、仕事を辞めた元夫に、こう提案したという。

家族の知人:
冬美さんは「何か家でもできる仕事をしたら」と言ったそうです。
そこで元夫が始めたのが、フリーランスで動画編集の仕事でした。

確かに、仕事依頼サイトを見ると元夫のものとみられる「自己紹介」が掲載されていた。

元夫のものとみられる自己紹介(仕事依頼サイトより):
YouTube動画(ビジネス系、エンタメ系、vlog)、サムネイルの編集、作成承ります。
介護職として11年間従事。
動画を使用した研修の企画発案や人材採用を経験。
平日は7~8時間、休日は3~4時間の作業時間確保が可能です。

動画編集業を始めた元夫と冬美さんの最近の様子について、近所の人はこう話す。

家族を知る人:
最近は私が見る限り、2人でいるところはそんなに見てない。
でも、別にけんかの声がしたとか、一切ないので、なんとも言えないんですけど。

「亭主関白な一面もあったそうです」

そんな中、事件直前に大きな動きがあった。

家族の知人:
1週間ぐらい前に冬美さんから電話があって「離婚したんだよね」と。
冬美さんはこれまで夫の愚痴を言うこともありました。亭主関白な一面もあったそうです。

5月20日、冬美さんと元夫の離婚が成立して、その3日後に今回の事件が起きた。家族以外の第三者が関わった形跡はなく、警察は、元夫の回復を待って事情を聴く方針だという。
(「Mr.サンデー」 5月26日放送より)

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