支払額が3年ごとに見直される介護保険料が、4月の改定で、全国平均が1カ月あたり6225円となり、過去最高を更新した。

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街では、「年金から引き落としだから、ピンと来てなかった」といった声が聞かれた。

介護保険料は地域によって差があり、最も高いのは大阪市で9249円の一方、最も安いのが、東京・小笠原村で3374円となった。最大で月6000円、年間では7万円を超える地域差があることがわかった。

大阪市民は「これ腹立つな。なんで?っていう。よそは6000なんぼで、大阪だけ9000なんぼやろ」「いや高いなと思いますよ。わたしらまだ若い80歳やけどね、わたしらは(介護保険の)お世話になってないから、高いかな?と思う」などと話した。

なぜここまで、支払い額に地域差が出るのだろうか。

淑徳大学の結城康博教授は「お年寄りが多ければ、介護保険サービスを使う人が多いので、高齢化率が高い自治体は、保険料が高い傾向」と説明した。

千葉県内では介護保険料に3000円以上の差

15日、取材班が向かったのは、千葉県の2つの自治体。

同じ千葉県でも、鋸南町はひと月の介護保険料が7800円だが、一方、栄町では4300円と、3000円以上の大きな差があることがわかった。

房総半島にあり、緑豊かな山並みが広がる鋸南町では、介護保険料は、改定前から800円値上がり、7800円に。鋸南町は人口が減少する一方で、介護を必要とする高齢者の数がほぼ横ばいなことなどが、負担額が増える要因となった。

鋸南町に住む85歳の男性は、「若いのはいないもん。都会行っちゃったり、どんどん人口減るばかりですよ」と嘆く。

さらに鋸南町は、面積の半分以上を森林が占め、山あいに住宅が点在していて、介護者のもとへ向かうヘルパーの移動や人員確保に費用がかかるという。

一方、千葉・栄町では、畳の上で高齢者が健康体操に励んでいた。

ここ栄町の介護保険料は、4300円で、改定前から40円の値下がりとなった。

栄町に住む70代女性は、「高齢者の人が活発に活動するから。いろいろなところで、健康体操みたいな」と話す。別の70代女性も、「介護率が低い。地域の高齢者の方が外に出て動いているから、それだけ元気になる」と話した。

町では、独自の健康体操など、介護予防の活動が盛んに行われているという。

自治体間の格差は今後も広がる?

自治体間の格差は、今後も広がっていく可能性があるのか。

その点に関して、淑徳大学の結城教授は「抜本的な制度改革がなければ、自治体間の格差は広がっていってしまうのではないか」という。

月額を見てみると、制度が始まった2000年は全国平均で2911円だったが、それが右肩上がりで、2040年には9000円程度になると推計されている。
(「イット!」5月15日放送より)