「老後2000万円問題」が「老後4000万円問題」に発展する可能性が議論されている。
そんな中、シニアの就業を促進する取り組みも注目されており、東京都の職業訓練施設では無料のコースが提供されている。

シニア向け授業料無料コースを設置

「人生100年時代」といわれる今、老後30年間で年金とは別に必要とされる「老後2000万円問題」にも、物価高の影が迫っている。

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このまま物価高騰が続けば、20年後には2倍の「老後4000万円問題」に発展するという新たな見方が浮上している。

インタビューに答えた60代は「70代で(月給)5万円でもいいから働けたらなと」と話す。

そんな中、「イット!」が訪れたのは、働きたいシニアの就職を後押しする東京都運営の職業訓練施設だ。

現在、深刻化している人手不足解決の糸口としても期待されているのが「シニア雇用」。
この日、年配の生徒たちが学んでいたのは「ボタン付け」。

シニア雇用促進のため、45歳以上を対象とした授業料無料のコースを設置。
生徒は3カ月間訓練し、介護や家事に関する4つの資格の取得が可能だ。

この施設を春に卒業した田中円さん(50)は、夫の海外転勤から共に帰国後、子供たちが手を離れたことをきっかけに入校を決めた。
現在は週2回、家事の支援スタッフとして担当する家を訪れ、お風呂掃除やベッドメイキングなどを行っている。

田中さんは、「家にいても、自分の家のことだけで。外出て働いて、そのお金で自分の趣味ができたらいいなと」と話している。

経験もふまえて働ける

田中さんが勤めるNPO(民間非営利団体)法人「グレースケア機構」柳本文貴代表は、シニア雇用のメリットをこう話す。

「50代から60代の方々だと、経験もふまえて技能さえ磨いてもらえれば、『社会人として…』みたいなところまで会社が担わなくてもいいですし」

シニア雇用のサポート体制が、どんどん広がっていくのはいいが、一方で、20年後には老後4000万円必要になるかもしれないという。

「4000万円」という数字は、20年間ずっと3.5%のインフレが続くという前提と考えられ、大きな数字で驚かして、貯蓄から投資へ促していって終わるかもしれないが、ひとり歩きしているのは少し危険かと思われる。

インフレになると貯蓄が目減りしていくため、長期的な投資を考える必要がありそう。
(「イット!」 5月14日放送より)

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