あなたの元にも届くかもしれない、「逮捕状」と書かれた書面。
警察官を名乗る男からラインで送られてきたものだが、実はこれは詐欺。巧妙な手口が明らかになってきた。
各地で確認されている「ニセ逮捕状」使った詐欺事件
「逮捕状」と書かれたこの書類。40代の女性に送られてきたニセモノ。

しかし、氏名や住所などの欄に実際の個人情報が書かれていたため、女性はこれを信じて詐欺に遭いかけた。
今、各地で確認されている「ニセ逮捕状」を使った詐欺事件。

茨城県では先週、38歳の男性が約1億円をだましとられる事件が起きた。
こうした中、FNNは実際に「ニセ逮捕状」を送られた女性を取材。生々しい犯行の手口が明らかになった。
「逮捕した詐欺犯の押収物に、あなた名義の銀行口座が」
女性と犯行グループとのやりとりは4月中旬、非通知でかかってきた電話から始まった。

詐欺に遭いかけた女性:
「警視庁第2課のものです」みたいな感じで電話がかかってきて、「(女性の名前)さんに少し確認したい内容があるんですけれども、周りにどなたかいらっしゃたり、お話ししにくい状況ではありませんか」みたいな感じで電話がかかってきました。
警視庁の捜査員を名乗った男は、女性に対し「逮捕した振り込め詐欺犯の押収物に、あなた名義の銀行口座があったので電話した」などと話してきたと言う。
詐欺に遭いかけた女性:
事件を解決する警察から電話かかってきたので、その捜査に協力しようという気持ちがすごい大きかったです。
さらに男は、「この事件の捜査本部がある和歌山県警に事情聴取に行って欲しい」と要求。
しかし東京で暮らす女性が拒んだところ、電話口に和歌山県警の担当者と名乗る男が出てきて、こう要求してきたと言う。

詐欺に遭いかけた女性:
もし和歌山に来られないんだったら、ビデオ通話みたいなのをさせてもらえないかって提案されたんです。
そこでLINEに繋げるのは本当におかしいんですけど、その時はもう和歌山に行きたくないし、電話で終わるんだったら、その動画できるのってラインが楽だから、全然ラインでいいやと。
SNSを使った事情聴取の提案。実際にはあり得ないが、女性は「自分名義の口座が犯罪に使われている」と言われ、気が動転。

詐欺に遭いかけた女性:
どんどん焦ってきて、あっそうかと。自分が疑われている段階なんだって思わされて、早く自分のその無実を証明したいっていう気持ちが先走って。なんでもできるんだったらみたいな感じでラインつなげてしまった。
「口座のお金をすべて調査機関に送ってください」と言われ…
これは、女性と和歌山県警の捜査員を名乗る男がやりとりを交わした実際の画面。

そこには、第三者との接触を避けるよう注意する文章が書かれている。
女性はその後、捜査員を名乗る男とLINEのビデオ通話機能を使って会話したと言う。

詐欺に遭いかけた女性:
(相手の男は)警察の服を着ていること。警察手帳を見せる行為とその視覚情報で、警察ってその時に思い込んでしまいました。
よく考えたら(警察手帳の)中まで名前とか名刺とか見せてくれたかは覚えてないんです。
また、LINEで送られてきた「ニセ逮捕状」には、男が知らないはずの自宅の住所などが記されていたため、女性は相手の話をさらに信じてしまった。しかし…

詐欺に遭いかけた女性:
「話した内容で、あなたが犯罪に関わっていると私は思えません」みたいなことを(男が)急に言い出して。あなたの方で、その口座が犯罪に使われてないっていう証明をできますか?」みたいな話に持っていかれたんですね。
「自分ができることは何でもやります」っていう話をしたら、「あなたの今ある口座のお金をすべて調査機関に送ってください、入金してください」って言われた瞬間に「あ、詐欺だ」って思った。

お金をだまし取られる寸前で詐欺に気づいた女性。
その後 事情を聞きに駆けつけた警視庁の捜査員からは、警察が非通知の電話やSNSに連絡することは無いと注意されたと言う。
同様の事件が茨城県や愛知県でも確認されていて、注意が必要だ。
(「イット!」 5月14日放送より)