漫画家・石ノ森章太郎さんが生み出した宮城県石巻市のご当地ヒーロー、「シージェッター海斗」。2024年、誕生20周年を迎えた。震災を乗り越え、市民に愛され続けるご当地ヒーロー。その歩みを取材した。
デビュー20周年!巨匠が生んだご当地ヒーロー
この記事の画像(9枚)「海斗―!」子供たちの声に答えて石巻市の商業施設に登場したのは、シージェッター海斗。石ノ森萬画館を中心とした「マンガのまち・石巻」を全国に発信しようと、石ノ森章太郎さんが生前に描いたスケッチをもとに2004年に誕生したご当地ヒーローだ。2024年で生誕20周年を迎えた。デビュー後は、石巻市内のイベントなどへの出演を続け、いまでは世代を超えて愛される存在となった。
この日のイベントにも、子供たちを中心にたくさんのファンが駆け付けた。
2歳の頃からファンで、イベントには必ず海斗のフィギュアを持っていくという男の子も。そして、男の子の母親は、一緒にイベントを巡るうちに、いつの間にか自身もファンになっていたという。子供たちや特撮好き以外の人たちも惹きつける魅力が、シージェッター海斗にはあるようだ。
がれきから見つかったヒーロー
震災伝承施設「MEET門脇」。ここには、石ノ森萬画館の正面玄関前に飾られていた海斗のモニュメントがある。
日本大震災で津波の被害を受けた萬画館は、約4.5メートルの高さまで浸水。海斗のモニュメントも流失してしまったが、片付けの作業中に、スタッフががれきのなかから発見した。両腕がなくなってしまったヒーローの姿は、津波の威力を物語るかのようだ。
ヒーローの姿と子供たちの笑顔が原動力に
見されたモニュメントがスタッフの原動力となり、震災からおよそ2カ月後の2011年5月5日、「こどもの日」に海斗のショーが実現した。市内の復興も道半ばで、石ノ森萬画館自体、再開の目途も立たない状況の中ではあったが、集まったたくさんの子供たちの笑顔がそこにはあった。石ノ森萬画館の本郷由華さんは、当時を振り返って「スタッフたちも、この笑顔をいつかもう一度この場所で取り戻したいと思って、再開しようとみんなで思った日だと覚えている。」と語る。
「笑顔を取り戻したい」スタッフの思いは実を結び、2012年11月に萬画館は営業を再開した。
ずっと勇気と希望を与え続けられる存在でありたい
誕生から20年。海斗は今年もステージから、訪れた人たちに笑顔を届け、石巻の復興を発信し続ける。
当時の子供たちがいま親になって、今度は自分の子供を連れて応援しに来ることもあるという。親から子へ、世代を超えて愛され続けるシージェッター海斗。
「シージェッター海斗が、ずっと勇気と希望を子供たちに与え続けられる存在でありたい。」(石ノ森萬画館 本郷由華さん)
(仙台放送)