希少な天然鉱石を使って作られる「サヌカイ陶琴」。その音色は誰が聴いても心地よく、不思議な音色を奏でるという。その楽器を演奏するのが愛媛・松山市出身のマリンバ奏者・MIKIさん。月に一回ほど愛媛でライブを行い、癒やしの音色を届けている。

“不思議な音色”がするサヌカイ陶琴

軽やかで心地よく、そして、どこか不思議な音色。目を閉じると、別世界へ誘われるようなその音は、心を優しく包み込む。

「サヌカイ陶琴」を演奏する愛媛・松山市出身のマリンバ奏者・MIKIさん
「サヌカイ陶琴」を演奏する愛媛・松山市出身のマリンバ奏者・MIKIさん
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演奏しているのは愛媛・松山市出身のマリンバ奏者・MIKIさん(松島美紀さん)。

マリンバ奏者・MIKIさん:
とにかく気持ちいい。これを聴いてうるさいとか汚いって言う人はそんなにはいないかなっていうぐらい、誰が聴いても心地よいっていう本当に不思議な音色ですね、魅力的というか

透き通る音色の正体は天然鉱石「サヌカイト」で作られた「サヌカイ陶琴」だ。サヌカイトは通称「カンカン石」とも呼ばれ、たたくと音が出る。

香川以外では、世界でもほとんど採れない希少な天然鉱石だ。その石を粉末にし、粘土と混ぜて焼いて楽器にしたのが、サヌカイ陶琴だ。

塗装していない表面はざらざらとしていて、擦っても音が出る。たたくときに使うマレットは毛糸や真ちゅう、プラスチックなど様々で、時には手を使うこともあるという。

MIKIさんとサヌカイ陶琴の出会い

幼い頃から演奏が大好きだったMIKIさんは、幼稚園で木琴に初めて触れ、その魅力にどんどん引かれていった。

「マリンバ奏者になる」と書いたMIKIさんの卒業文集
「マリンバ奏者になる」と書いたMIKIさんの卒業文集

小学校の卒業文集には「マリンバ奏者になる」という夢がしっかりと記されている。

夢を追い続けたMIKIさんは、世界的指揮者・小澤征爾さんなどを輩出した桐朋学園大学音楽学部・打楽器科マリンバ専攻を主席で卒業。その後はマリンバ奏者として作品集をリリースし、譜面化された作品は国の内外で広く演奏されている。

そんなMIKIさんがサヌカイ陶琴と出会ったのは4年前のことだ。

MIKIさん:
とある人と出会って、その人がサヌカイ陶琴という癒やしの楽器があるみたいなんだけど、それを弾きたいけど本人は弾く技術がないと、弾ける人を探してたと言われて

香川・高松市の「サヌカイトの里」と楽器を共同開発することになったMIKIさん。
楽器が完成するも、MIKIさんは当初、「楽器の音が受け入れられず、人前で演奏するのは無理」と思っていたと振り返る。

その後、台の改良を重ねるなど1年ほどかけて、心地よい音色を追求した。

MIKIさん:
人の手は加わってはいるけど、手作りなんです。そうするとやっぱりむらとかも出てくるんです

月一でライブ開催「宇宙を感じる」

MIKIさんは、3月、サヌカイ陶琴で演奏した初のアルバムをリリースした。

サヌカイ陶琴で演奏した初のアルバム
サヌカイ陶琴で演奏した初のアルバム

表現したのは、限りなく「静」に近い世界。

MIKIさん:
沈黙があるから音が際立つ。ということは沈黙も音なんですよね。ただ音だけを味わってほしいんです

月に一回ほどは、愛媛・西条や松山でライブを開催し、癒やしの音色を届けている。

音色を聴いた人は「宇宙感を感じるというか、不思議な感じで引き込まれていくようなそういった音ですね。私も一番最初に聴かせていただいた時は、目をつぶって5分くらいで眠りに誘われてしまいました」と笑顔で話した。

MIKIさん:
どの音にも良いも悪いもないし、丸ごとそのままの音を捉える。もう感じるだけというのを自分の主にして、音を感じる世界。ただ感じる世界っていうのをやっていきたいなと思います

四国の地で生まれた癒やしの音色サヌカイ陶琴。日々の喧噪(けんそう)を忘れ、軽やかで心地よいその響きにひととき、身を委ねてみてはいかがだろうか。

(テレビ愛媛)

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