長時間のデスクワークで肩こりや腰痛がひどくなり、仕事に集中できなくなった経験はないだろうか。

仕事を休むほどではなくても、健康上の不調などが原因で生産性が低下することは昔からあると思うが、近年では「プレゼンティーズム」と呼ばれて注目されている。

コンディショニングブランドを展開する株式会社TENTIALの執行役員・舟山健太さんによると、「企業の健康関連コスト(個人の仕事のアウトプットの低下や集中力の低下など)全体のうち、プレゼンティーズムにかかるコストは70~80%」とも言われているというのだ。

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会社全体の生産性の低下にもつながり、健康関連コストの大半を占めているのであれば、企業としても課題と考えているということだろう。また、本人としても常に仕事に集中できるようにしておきたいはず。

そんなプレゼンティーズムの状態を解消するために重要なのは、日頃の体調管理だという。具体的にどんなことを意識すればいいのか、舟山さんに聞いた。

100%の状態で働けている?

――そもそもとして、プレゼンティーズムの要因になるものは何?

すでに病名がついている症状から、日常で悩むようなちょっとした体の不調まで、“健康に関連するものなら何でも”というのが答えです。

例えば肩こり、腰痛、頭痛、睡眠不足、花粉症、メンタルの不調、女性であれば特有の周期による体調不良もプレゼンティーズムの要因になります。

体の不調を抱えている状態で仕事をしており、それによって仕事の生産性に少しでも影響があるものに関しては、プレゼンティーズムと認識されます。

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――常に不調なく働けている人の方が少なそう…

逆に誰もがプレゼンティーズムの状態になる可能性があるという解釈の方がより適切だと考えています。

プレゼンティーズムを測る方法の中の一つとして、「体調が良い時の仕事のパフォーマンスを100%とした時に、今あなたは何%ですか?」という質問があります。この問いに対して「私は100%です」と答える人は少なく、何かしらの不調を感じていることが多いかと思います。

そのような背景を踏まえると、ほとんどの人に当てはまる可能性のある症状だと思っています。

「休養」「栄養」「運動」を整えよう

――プレゼンティーズムは本人が自覚して解消できるものなの?

本人が自覚してプレゼンティーズムを解消するためには、大きく3つのステップに分かれると考えています。

まず一つ目に、病気ではないけれど、自分の体調が整ってないと思えるかどうか。二つ目に、その症状が生産性を損ねていることに気づけるかどうかです。そして三つ目は、自分自身で課題感をもち、体調管理の優先順位を高くして、日々の生活にコンディショニング(パフォーマンス向上のために心身を整えること)を取り込めていけるかというステップになってきます。

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――具体的にどんなことを意識すればプレゼンティーズムを解消できる?

プレゼンティーズムの要因は、肩こりや腰痛などの身近な体調の不調のことも多くあります。日々の生活習慣を整えることが重要であり、健康の三大要素の「休養」「栄養」「運動」を整えることが効果的であると考えられます。

これらを意識して体をコンディショニングしていくことが、将来的な病気のなりづらさや現在の健康上の理由で失われている生産性を解消することにもつながります。

今の自分の健康のために意識したいこと

――では、まず「睡眠」はどれくらいとればいい?

睡眠が足りないと単に眠くなるだけでなく、様々な生活習慣病のリスクを上げてしまいます。まずは睡眠時間をしっかり確保しましょう。成人の場合7~8時間の睡眠で疾患リスクが下がると言われており、個人差はありますが、一つの目安にしていただけると良いと思います。

自分の睡眠時間が足りているか不安な方は、平日と休日の睡眠時間を思い返してみてください。平日と休日で2時間以上の差があると、平日の睡眠が足りていないと言われています。

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――「食事」で意識すべきことは?

糖質オフダイエットなどのブームもありますが、三食バランスよく食べることがやはり重要です。炭水化物・タンパク質・脂質のバランスを考え、色々な食材で栄養を摂取しましょう。

偏った食事は睡眠への影響や、代謝が落ちて太りやすくなる原因にもなりえます。栄養の摂り方次第で体は変わってくるので、バランスの良い食事を心がけましょう。

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――「運動」はどのように取り入れればいい?

デスクワークが多い方は、ずっと同じ姿勢でいると体が固まってしまい、肩こりなどの不調の原因となる可能性があります。例えば1時間に1回は立って歩いたり、腕を回したりするだけでもこうした不調をある程度予防することを期待できます。

無理なくできることとしては、軽いストレッチや1日に7000~8000歩を歩いてみることを習慣化するのも良いと思います。無理のない範囲で1年、2年と続けていくことがキーポイントになります。

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――最後に、体調管理のアドバイスは?

体調管理は日々のコンディショニングが大事だと考えています。「高齢者になった時に病気にならないため」と思っていると、20〜40代の方の場合、なかなか意識が高まらないことが多いかと思います。しかし、実は未来だけではく「今」の生活にも影響していると認識すると、コツコツ体調管理に取り組めるかもしれません。

未来のためだけでなく今の自分のためにも、できる範囲で日々の生活を見直してみてください。

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なんとなく不調を抱えている人も多いことだろう。少しでも感じている場合、まずは日々の生活を見直してほしい。そうすることで体調が改善されていくかもしれない。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。