小学校や中学校などへの進学シーズンには、体育服や上履きなど多くの学用品の準備が必要。それが「学校指定品」の場合は選択の余地がなく、高価な物でも買わざるを得ない。少しでも負担を和らげるため、宮崎市では家庭にあるものも使えるよう、見直しを進めている。
広瀬北小が見直した学校指定品は?
宮崎市の広瀬北小学校では、これまで新1年生が入学するときに必要な学用品が、ランドセルや教科書以外で約40点、金額にして約2万9000円かかっていたが、2024年度から体育服や体育館シューズなど5種類(計9300円)を家庭にある物でも使えるよう指定を見直した。
宮崎市立広瀬北小学校 河野勉校長:
食材の高騰により給食費が上がっている。学用品なども物価高で値上がりしているため、少しでも学校の中で保護者の負担軽減ができることはないかと取り組んでいる。
この記事の画像(5枚)体育服(上) 2450円
体育服(下) 2450円
通学用帽子 900円
体育館シューズ 2050円
上履き 1450円
このほかにも一部の学年に使用が偏るカスタネットや星座早見表などについて、学校で購入または保護者に寄付を依頼してリユースする取り組みも行っている。
保護者の約8割が教育費に負担感
2023年に宮崎市が行ったアンケートによると、小中学校の保護者約2500人のうち約8割が「教育費に経済的な負担を感じる」と回答した。
広瀬北小PTA会長 冨浦正人さん:
体育館シューズなどは、今のものでなくても普通のバレー用、体育館用のシューズを使うことができればいいと思う。指定品は単価が高いものが多いため、少しでも負担を減らすことができれば家計の助けになるのでは。
このような動きは広瀬北小学校だけではない。宮崎市の小学校では今年度、体育館シューズを指定品としていた32校のうち7割にあたる23校が見直し。体育服は43校の4割にあたる17校、上履きは29校の3割にあたる10校で、家庭のものが使えるようになった。
視聴者からのご意見
宮崎市40代男性 ジージパパさん:
業者との取引もあると思うが自由に選べるのはありがたい。ただ家庭によって格差が生まれる事も事実。イジメにつながらないような配慮も必要だと思う。
宮崎市40代女性 いろはさん:
指定品見直しはある程度は必要と思うが、指定がないと何を選べば良いか分からず困ることもあった。
宮崎市10代女性 ゆっぴーさん:
使用頻度が低く、必ずしも同じでなくても良いものは購入を勧めなくても良いと思う。
制服リユースも進む 思わぬ課題も…
宮崎市木花地区で学用品のリユース活動を行うリサイクルベース木花は2022年に活動を開始。子供たちが卒業すると使われなくなる学用品を「もったいない」と思う保護者たちが集まったという。使われなくなった学用品を預かり、月に1度公民館を借りて次に使う子供たちへ譲り渡す会を開いている。
活動の中で、「何とかできないか」と話題にあがる課題がある。
リサイクルベース木花代表 圖師知子さん:
制服をお渡しする上で、「刺繍(ししゅう)」の問題が話題にあがる。学年によって色が違うことや、名前が入っているため、取らないといけないことが負担になっている。
こうした声を反映し、宮崎市は公立中学校に制服のネーム刺繍について見直しの検討を促した。その結果、2024年2月の時点でネーム刺繍を指定していた24校のうち20校が指定廃止を決めたという。市民の意見が反映された形だ。
視聴者からのご意見
宮崎市50代女性 ミルキーさん:
刺繍をしないのは良いと思う。制服やシューズなど、まだ使えるものは後輩に譲ったりしながら、物の大切さを知るきっかけになればいいと思う。
延岡市50代女性 みはないおばーばさん:
長男、次男と工業高校の機械科だった。3年違いだったが、計算機などあらゆるものがお下がりがダメということで、全て買い直した。ある程度はお下がりを許可してほしかった。
制服に限らず、リユースはモノを大切にするというSDGsの観点からもとても大事な取り組みだ。指定品見直しの取り組みも含めて、保護者の経済的負担を和らげる動きが広がると良いのではと感じた。
(テレビ宮崎)