イスラエル軍のハレビ参謀総長は、イランの大規模攻撃に対し、反撃を検討していることを示唆した。
イスラエルの報復に世界中が注目する中、イスラエルが「イランの核施設を攻撃する」のではという懸念が浮上している。

イスラエル軍トップ「自らの行動の責任取る形になる」

イランがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたことに対し、イスラエル軍トップは反撃する考えを示した。

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イスラエル軍・ハレビ参謀総長は、「われわれは最高レベルの体制を維持している。イランは自らの行動の責任を取ることになる」と話した。

ハレビ参謀総長は15日、イランの大規模攻撃について、アメリカやイギリスなどの協力を得て失敗に終わったと述べるとともに、中東で各国が協力し合う新たな機会を生み出したと述べた。

そのうえで、これほど多くの攻撃をイスラエルに行えば、イランは反撃を受けるだろうとの考えを示した。

一方、イスラエルの戦時内閣は15日も閣議を開き、イランへの対応策を協議したが、結論は明らかにされず、沈静化を目指す国際的な圧力もあり、慎重に検討しているとみられる。

イラン・テヘラン市民は攻撃を支持

イランから、歴史上初めての直接攻撃を受けたイスラエル。

軍のトップが反撃をすると発言したということで、いつ、どのような報復を行うのか、世界中が固唾(かたず)をのんで見守っている状況だ。

イスラエルの出方に注目が集まっているが、攻撃を行ったイランでも、一夜明けても攻撃を支持する人々の声が収まっていなかった。

15日のイラン・テヘランの様子を見ると、大勢の市民が集まり、イスラエル批判の声を上げている。
群衆の中には、ヒジャブと呼ばれる布を被った女性市民の姿も多く見られた。

「攻撃を行ったのはイスラエルであり、イランは自らを防衛した」などの声が聞こえた。

今回の攻撃では、射程の長い弾道ミサイルが120発も使われ、アメリカなども注目している。
市民はミサイルの模型を持ち出して、今回の攻撃を支持する声を上げていた。

イスラエルも、ハレビ参謀総長が空軍基地を訪問して、兵士らに反撃をする意志を伝えていて、予断を許さない状況が続いている。

ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長がお伝えする。

── 双方が強気な姿勢を崩していないが、アメリカが報復には参加しないと表明している。イスラエルの報復はどうなるのだろうか?

現地メディアなども、イスラエルの目的は「全面戦争ではない」とはしているが、バイデン大統領の意見を、イスラエルがあまり聞いていないという声もある。
戦時内閣はまだ継続協議をしていて、どれくらいの規模になるかは不明な状況だ。

このような中、イスラエルが「イランの核施設を攻撃する」のではという懸念が浮上している。

IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長は、日本時間の16日の朝に行われた記者会見で、イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性について、「常に懸念している」としたうえで、イスラエル側に「自制を求める」と発言した。

イランは、2000年代に核開発疑惑が発覚した。
焦点となっているのは、ナタンズのウラン濃縮施設だ。

イランは平和利用を主張しているが、軍事目的であるとして国際的な批判を受けていて、IAEAもたびたび調査に入ってきた。

特に強く反発していたのが、イスラエル。
これまでもナタンズの施設にイスラエルによるとみられるサイバー攻撃で爆発や火災が起きており、イスラエルとイランは、水面下でさまざまな暗闘を繰り返してきた。

重要人物暗殺による報復の可能性も 過去には核科学者5人を殺害

── 核施設に攻撃を仕掛けたら大変なことになるが、攻撃の可能性はどれくらいあるのだろうか?

直接的な攻撃の可能性は、放射能の問題などもあり難しいだろう。
しかし、さまざまな手段が考えられる。
これまでイスラエルは、イランの核開発を阻止するため、わかっているだけでもイランの核科学者5人を殺害してきたとされている。

2010年には、量子研究者のマスード・アリモハマディ氏、中性子の研究者であるマジッド・シャハリアーリ氏、2011年には物理学者のダリオシュ・レザエネジャ氏、そして2012年にはウラン濃縮の研究者のモスタファ・アフマディ・ロシャン氏が爆弾や銃撃により殺害されている。

さらに2020年11月、「イランのオッペンハイマー」とも呼ばれた科学者のモフセン・ファクリザデ博士が、車に乗っているところを銃撃されて殺害された。

この殺害については、イスラエルメディアによると、イスラエルの情報機関であるモサドが、AI(人工知能)を搭載したベルギー製の自動小銃を現場周辺の交差点に設置。
無人状態で博士を銃撃したという。

このような暗殺では、イスラエルに協力するイラン市民の工作員を使って作戦を行ってきたといわれており、現在でも攻撃は可能だという。

核開発に関与している可能性があるとはいえ科学者であり、殺されたのは兵士ではない。
そのため、容赦ないという印象を受ける。

ただ、イスラエルのこのやり方については、元CIA(中央情報局)の長官だったマイケル・ヘイデン氏が「イランの核開発を止める最も有効な手段は、このような科学者を殺害することです」と冷徹な分析をしている。 

大規模な軍事攻撃でなくとも、重要人物の暗殺のような報復をイスラエルが行う可能性はある。

イスラエルとハマスとの戦闘も終わりが見えない中、中東の混迷が一段と深まり戦火が広がりかねず、報復の連鎖を避けなければならない。

国際社会的には、エスカレートすることは避けたいが、偶発的な戦闘が続いていると、予想できない事態が突然起きるおそれもある。
(「イット!」 4月16日放送より)

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