被害が急増しているSNSを使った投資詐欺。有名人の動画などを悪用する手口が目立つが、兵庫県でも同様の事件が…巧妙な手口の実態を取材した。

【動画】フェイク動画・音声で 堀江貴文氏らかたる投資勧誘 SNS投資被害で5260万円被害

■AIを使ったこうしたフェイク動画や音声で本人だと思い込ませ だまし取られた5265万円

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ことし2月、神戸市長田区の女性(58)がSNSに表示された投資講座の広告にアクセスし、金をだまし取られる事件が起きた。だまし取られた金額は5265万円。

女性がこの投資話を信じてしまった理由が…有名人を悪用した投資詐欺。

女性は、フェイスブックで「ほりえ投資教室」という広告を目にする。

アクセスしてみると「堀江たかふみ」を名乗る人物とLINEでやりとりすることに。

その人物から送られてきた音声メッセージを聞いて、本人であると信じ込んでしまい、現金を振り込んでしまったという。

警察庁によると、SNSを使った投資詐欺は急増していて、被害額は2023年1年間で、約278億円にも上っている。

なかでもSNSと有名人の名前や画像を悪用した、投資詐欺が全国で増えている。

主な手口は、まず有名人を使ったフェイク動画をSNSで発信。

前澤友作さんの偽広告動画:私ゼンザクユウサは、日本人に高収入をもたらす、新規の投資プロジェクトをご紹介したいと思います。

名前を名乗る部分は不自然だが、AIを使ったこうしたフェイク動画で投資の勧誘をし、その後、その有名人になりすました人物のLINEに登録させてアシスタントを紹介、投資サイトに誘導されるというものだ。

■「有名人が表示され、安心感でクリックしてしまった」 SNSでの投資の勧誘に安易に投資しないで

このような有名人の写真や動画を使った広告について、街の人は…。

女性:パッと見て(偽物と)分かるんじゃない?
男性:分かる?この動画見てわからんやろ?

男性:ファンとして見ている人は(偽物と)分かると思うけど、これ見たら信じてしまうかも」

女性:SNSをしていて、合成した感じの広告はよく見ます。通知来ないようにブロックしています。

有名人の広告をきっかけに、実際に詐欺被害に遭った男性(40代)が関西テレビの取材に応じた。

詐欺被害にあった男性:フェイスブックから検索をして、(投資を)始めました。投資の広告が多くて、有名人が表示されていたので、安心感があり、軽い気持ちでクリックした。堀江さんか前澤さん(を悪用した広告)。

男性はその後、70人ほどのSNSグループで、”AIを使った投資術がある”などと紹介され、合わせて約1400万円を振り込んだという。

しかし現金を引き出そうとすると、「税金や手数料を支払う必要がある」などと、さらなる入金を要求され、その後、相手と連絡が取れなくなったという。

また、同様に現金約1400万円をだまし取られた別の男性は、被害の背景に「有名人が勧めているという安心感があった」と話す。

詐欺被害にあった男性:まず広告ですよね。誰が映っているか、何をうたい文句にしているか、まずそこをみると思う。そこを信じてしまったのが一理ある。

このような状況を受け、詐欺広告などに悪用されている前澤さんは、メタ社、フェイスブックジャパン社に対し削除を申し入れてきたが、一向に改善せず。

4月、同じく詐欺に悪用されている堀江さんらとともに、偽広告の規制強化を自民党の部会で訴えた。

堀江貴文さん:『削除しろ、削除しろ』と1年以上言っているんですよ。ナメた対応しかしない。規制強化とか、現行法で対処できないかとか、詐欺ほう助にならないか(議論している)。

前澤友作さん:申し訳ないです。少なくとも僕が広告塔になって、『もうかる』との広告をおしてだまされているので。僕の責任も感じている。アメリカの弁護士と連携して、本国のメタ社を提訴する準備をしています。

社会の投資ブームを背景に急増するSNSと有名人を悪用した詐欺。
警察は「SNSなどで投資の勧誘があっても、安易に投資しないでほしい」と注意を呼びかけている。

■だまされないためには「一度疑ってみる」こと

SNSを使った投資詐欺が急増している。
実業家の前澤友作氏、経済学者の森永卓郎氏、楽天の三木谷氏などもこの投資詐欺に悪用されているという。

被害者に取材した関西テレビの加藤さゆり報道デスクは「今回取材をした方は、大きなお金をもうけようと思って始めたのではなく、家族のためにちょっとでも生活の足しになればと思って始めたそうです。そこに付け込んでくるのが投資詐欺です。1回始めてしまうと、その旨味を見せてくるので、『これだったらいけるかも』と信じ込ませて、最後はお金を引き出せないという、手口としては本当に典型的な詐欺です。前澤氏や堀江氏が動いてくださることはありがたいと話していました」と言う。

おかしいと思うポイントはあったのだろうか?

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:何度かあるそうです。でも、入り込んでしまうと気付けない、止まれないとお話していたので、怖いところですね。

「newsランナー」番組コメンテーターの共同通信社編集委員の太田昌克さんは「二重の防護柵が必要。堀江氏が訴えるように、プラットフォーマーがもっと目を光らせて、犯罪の温床を野放しにしているこの実態を、もっと深刻にプラットフォーマーは受け止めるべきで、かなり厳しい規制強化必要だと思う。もう1つの防護柵は、自分の心の中。疑ってみる、セカンドオピニオンをほかの人に求めてみるなど。ネット上の情報は玉石混交なので、自身がまずは疑ってみることが大事だと思う」と言う。

うまい話、甘い言葉に対しては一度、詐欺ではないかというふうに疑うことが大切だ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月15日放送)

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