プールではしゃぐ子どもたちは例年の夏の光景…。
しかし、2020年は一転、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、福岡県内では営業休止を決めたレジャープールが増えている。

子ども:
夏っていったら、やっぱり泳ぐじゃないですか。それが泳げなくなったりするからちょっと悲しい

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この夏、プールで泳げない子どもたちが多く訪れそうなのが海水浴場。
水の事故の増加も懸念されている。

ライフセーバーがいない中の水難事故

テレビ西日本・柿木綾乃記者リポート:
水難事故があった海岸です。死亡した小学4年の女の子はテトラポットの手前付近で溺れました

福岡・新宮町の海岸では7月5日、友人2人と遊んでいた小学4年の女の子が溺れ、翌日亡くなった。

現場は例年、約3万人の人出で賑わう海水浴場。
しかし当時、海の安全を守るライフセーバーの姿はなかった。

というのも…

新型コロナの影響で見回りできず

福岡県ライフセービング協会・田原幸佑理事長:
今年はコロナの影響でパトロール活動はできないので

海水浴場などで安全を見守り、ときには水難救助にあたるライフセーバー。福岡県内では約160人が活動している。
彼らが2019年、県内の海水浴場で救助したのは44人。
このうち8割を19歳以下が占めている。
ライフセーバーは、子どもたちや若い世代の命を守る大きな役割を果たしている。

田原さんたちは、2020年も本格的な海水浴シーズンを前に訓練を重ねてきた。
新型コロナの感染対策についても注意を払っている。

福岡県ライフセービング協会・田原幸佑理事長:
ウイルスに感染されているお客さんと接する機会を懸念しながらの活動になるので、マスクをしたり、ソーシャルディスタンスを取ったり、いろんな活動に変化は出ている

救助活動の際には何らかの接触が避けられないライフセーバー。
感染拡大を防ぐためレスキューボードで距離を保ち、掴まってもらうなどの方法を模索してきた。
そんな中、2020年は「新型コロナ対策が難しい」として、県内19の海水浴場のうち5カ所で海開き自体が見送られることになった。

そのひとつが新宮海岸で、管理する新宮町は、海水浴場を開かずライフセーバーも置かないことにした。
そんな中で、女の子の事故は起きた。

福岡県ライフセービング協会・田原幸佑理事長:
やっぱり普段と違う環境で起こった事故というのは言えるのかなと思うし、未然に私たちにできることはなかったのかなというのは思った

人影がない海岸。
事故のあと、町は新たな看板を立てた。

今年の夏は新宮海水浴場は開設しません。ライフセーバーもいませんので、海水浴は自粛されるようお願い致します

町は看板のほか、防災無線でも遊泳自粛を呼びかけることにしている。
また海の安全を守るライフセーバーだが、新型コロナの影響で人手不足が起きている。

ライフセーバーの人数にもコロナの影響が

県ライフセービング協会によると、2020年3月末時点で県内で活動している165人のうち、49人が大学生のアルバイトという。
その彼らが、2020年の活動が難しそうだという。
新型コロナの影響で休講措置などをとったため、夏休みが短くなっている大学も多い。
また感染拡大を受けて、外部の活動への参加を自粛するよう求める大学もある。
そうしたことで、ライフセーバーの活動が難しい状況になっている。

新型コロナの影響でいつもと異なる夏。
人の目が行き届きにくい環境で、子どもたちを水の事故からどう守るのか…改めて考える必要がありそうだ。

(テレビ西日本)

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