福島県の人口は、2050年までに現在の175万人あまりから50万人ほど減少するという推計がある。一方で2023年度の県内への移住者は約3000人と過去最多。
奥会津の金山町では、深刻化する人手不足のなか移住者との「ウィンウィンの関係を築く」挑戦がはじまっている。
赤カボチャと古民家に魅せられて
古民家をリノベーションし、民泊経営の準備を進めるのは金山町に移住して5カ月の眞鍋一郎さん。沖縄県・石垣島からの移住者だ。「ゆくゆくは農業と宿で生計を立てたいなといったときに、金山町の赤カボチャと古民家に出会った。四季が色濃い場所というのが、僕の条件だった。当てはまるのが金山町だったのでここに決めた」と眞鍋さんはいう。
この記事の画像(9枚)人手が欲しい時…頼りになる移住者
町にすっかり惚れ込んだ眞鍋さんは町内の温泉施設へ。仕事の疲れをいやすために?と思いきや…眞鍋さんはお客さんではなく臨時スタッフとして働いているという。
これは、「受け入れ側」の地元の事業者にとってもメリットがあるという。温泉施設「せせらぎ荘」の小林幸子さんは「突発的に宴会が入ってしまうと、どうしても人手が足りない。この日にお願いしますとお願いすると、派遣の方が入ってくださる」と話す。
人口減少も移住者は増加傾向
人口減少が進む金山町の人口は現在1700人あまりで、20年後にはさらに半分にまで減少すると推計されている。一方、金山町への移住者はこの10年で約90人と年々増えてきている。
移住者と地元 win-win
眞鍋さんのように「仕事が軌道に乗るまで収入を得たい」移住者と「忙しい時期に雇用を確保したい」事業者。これをマッチングしているのが「奥会津かねやま福業協同組合」、通称「かね福」だ。目黒祐一理事長は「かね福の場合は1週間や2日と短いスパンでお願いして、事業所にとっては少ないお金で忙しい時にその人たちに仕事を賄えるということになる」と話す。
「かね福」では現在20の事業者と移住者8人が支え合う関係を築いている。
移住者の意気込みは活気に
3年前に東京から地元・金山にUターンした井草葉子さんは「かね福」で出会った人たちとのネットワークを通じて、町の魅力を映像で発信する会社を立ち上げた。次は「こちらが仕事を依頼する番」と意気込む。
「私たちみたいに地元で起業した人間は、起業したからこそ“かね福”に派遣してもらう事業主になる可能性が出てくるので、すごく楽しみなことだなと思う」と井草さんはいう。
移住者の意気込みは町の活気にもつながる。
移住者と事業者のマッチングを行う奥会津かねやま福業協同組合の目黒祐一理事長は「移住者が地域に溶け込んで、積極的に活動している人たちとか、金山町を世界に向かってPRするような人たちが移住してくれたことで、町の雰囲気が変わってきたと」と話す。
これまでの町を作ってきた人たちと、これからの町を作ろうとする人たち。その支えあいが金山の未来を彩る。
(福島テレビ)