原宿の中心地にランドマーク「東急プラザ原宿ハラカド」が誕生し、老舗銭湯やブランドショップなど多彩な施設で、新たな文化発信地を目指す。
専門家は、「人が主役」の街づくりによる新しいカルチャーや、交流の場を創出することの重要性を指摘する。

原宿「ハラカド」新世代ランドマーク誕生

東京・原宿のど真ん中に、新たなランドマークが誕生する。

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原宿神宮前の交差点に、17日にオープンする「東急プラザ 原宿ハラカド」には、地下1階から屋上テラスまでの9つのフロアに、ブランドショップなど75店が出店する。

地下1階には、施設の目玉である高円寺の老舗銭湯「小杉湯」による「小杉湯原宿」が開業する。

フジテレビ経済部・山下あす奈記者:
壁には富士山が描かれ、昔ながらの銭湯が再現され、ここが原宿であることを忘れてしまいそうです。

小杉湯3代目・平松佑介さん:
公共の役割を持っている町の銭湯というものを、デベロッパーであったり、多くの企業とともに作るモデルという形で新たに誕生させている。

また屋上テラスでは、たくさんの緑に囲まれながら原宿を見下ろすことができるほか、湯上りに「銭湯飯」で“ととのう”こともできる。

施設を手がけた東急グループは、新たな原宿の文化発信拠点として、年間1000万人の集客を目指すとしている。

街の魅力集めるプロデューサーへ

「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
── 不動産デベロッパーによる新しい街づくり、どうご覧になりますか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
銀座といえば「洗練された大人の街」、丸の内といえば「ビジネスの街」というイメージがありますが、こういう「らしさ」があると、街の価値が高まります。

バブル崩壊後、経済が成熟すると、自然な地価の上昇は期待できなくなりました。そこで不動産デベロッパーは、土地の価値を新たに創り出すことに努めてきました。

言葉を換えていうなら、街のイメージ、「らしさ」を新たに創り出すことで、土地・建物の価値が高まる戦略をとっています。

「ハラカド」を推進してきた東急グループも、デベロッパーから街のプロデューサーへと、その役割を変化させています。

堤キャスター:
── 具体的には、どんな役割を担っているのでしょうか?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
建物の開発にとどまらず、街を構成する人々や企業・自治体にも働きかけて、一緒に街の価値を高めていくことに力を注いでいます。

ここでポイントになるのが、主役を「ビル」から「人」へと変えることです。その街でしか体験できない価値の提供、ワクワクする発見や感動こそ、多くの人を引きつけるのです。

そのためには、新しいビルや施設を建てて終わりではなく、ユーザーと一緒に街を作り上げていく「価値共創」の視点が求められています。

経済的発展を超え新カルチャーへ

堤キャスター:
── この「ハラカド」、買い物や食事が楽しめるだけではなく、クリエイティブな交流の場にもなっているようですね?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
新たな価値を生む「人」と「人」の出会いがあるなど、「人が主役」の街づくりが進むと、経済的な発展を超えて、社会にインパクトを与える文化、新しいカルチャーへとつながっていきます。

原宿といえば、東京の若者カルチャーを代表する街というイメージがありますが、このハラカドも、時代をリードするカルチャーの発信や、新しいエンターテイメント体験の提供など、原宿らしさがある、クリエイティブなコミュニティーになることを期待したいと思います。

堤キャスター:
これまでの商業施設の枠を超えて、さまざまなクリエイティブな発想が集まることで、ここから新たなカルチャーが生まれていくかもしれませんね。
(「Live News α」4月9日放送分より)

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