人口減少は全国共通の問題だが、福島県では震災・原発事故前は200万人を超えていたが減少の一途をたどっている。ある調査では、2050年には約51万人が減少するという推計も。人口が少なくなると、適切な学校教育の維持や安定的な事業継続ができなくなる恐れがあるため、福島県でも対策が進められていた。

13市で最も低い子どもの割合

福島県内で、入学式を迎える子どもの数は減り続けている。南相馬市の鹿島小学校は、この春から同じ地区にあった八沢小学校と統合。4月8日は、開校式が行われた。

南相馬市立鹿島小学校 開校式
南相馬市立鹿島小学校 開校式
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鹿島区の児童数は約400人で、震災前の3分の2ほどに減少。総人口に占める子どもの割合は8.8%で、県内13の市の中で最も低くなっている。
今回の再編は、適切な学校教育を維持していくために必要なものだった。

震災・原発事故も影響か 子どもの割合低く
震災・原発事故も影響か 子どもの割合低く

学生服販売店も人口減少を実感

鹿島区中心部の商店街。1990年代はにぎわっていたが、現在はシャッターが閉まった店舗が目立つ。この商店街で、学生服を約60年販売するヤスケ衣料店の佐藤吉信さんは「毎年人数が減ってきて、我々の商売もやっぱり売上が少なくなってきている。やっぱり寂しい」と話す。

鹿島区の学生服を扱う店も人口減少を実感
鹿島区の学生服を扱う店も人口減少を実感

人口減少に歯止めをかけるため、南相馬市は小中学校の給食費無償化などを打ち出しているが、まだ目立った効果は表れていない。

かつては賑わっていた通りにもシャッターが目立つ
かつては賑わっていた通りにもシャッターが目立つ

2050年には子どもの数が半減

国立社会保障・人口問題研究所が、2023年に公表したデータでは、県内の2050年の推計人口は124万7000人。2024年3月の175万7079人から約51万人減少するとみられている。
65歳以上の高齢者の割合は今後も増加していき、2050年には44.2%に。一方で、2020年に20万6000人だった14歳までの子どもの数は、2050年には10万2000人と半分に減ると見られている。

データ:国立社会保障・人口問題研究所
データ:国立社会保障・人口問題研究所

水道管整備 AIで効率化

人口減少に直面するなか、福島県会津若松市では人工知能を活用し、安定的な事業継続を目指す取り組みが始まっている。会津若松市内に張り巡らされた全長818キロメートルの水道管。更新する際に欠かせない存在となっているのがAI人工知能だ。

会津若松市の水道管 更新にAIが活躍
会津若松市の水道管 更新にAIが活躍

AIが更新すべき水道管を絞り込む

更新が必要な水道管を赤く表示したマップ。会津若松市上水道施設課の横山和郎技査は「管が古いほど危険性が高いということで赤色、管が新しいほど危険性が低いということで青色で示した図面となっています」と説明する。

市内に張り巡らされた全長818キロメートルの水道管
市内に張り巡らされた全長818キロメートルの水道管

単純計算では、全体の約半分を占める更新が必要な水道管。しかし、付近の交通量や更新時期などの情報を学習したAIは、優先的に更新すべき水道管を55キロまで絞り込んだ。
会津若松市の横山技査は「これまで行ってきた一部の業務を人からデジタルが補う。デジタルに助っ人になってもらうことで、課題改善に取り組んだり付加価値を見出したりして持続ある水道事業に繋げていきたい」と話す。

赤で表示された部分が優先的に更新が必要な水道管
赤で表示された部分が優先的に更新が必要な水道管

安定的な水道事業継続

水道を利用する人が、この10年間で1万4000人も減った会津若松市。職員の数は10年前と比べて約半分に減る中、安定的な水道事業が求められている。会津若松市上水道施設課の横山和郎技査は「限られた人のなかでいかに効果のある、なおかつ確実な更新工事に繋げていくことが今後必要になってくるので、そこの部分は業務意識などに励みながら取り組んでいきたい」と話した。

利用する人も職員も減少 安定的な継続が課題 (画像:会津若松市上下水道局)
利用する人も職員も減少 安定的な継続が課題 (画像:会津若松市上下水道局)

福島県の人口減少対策

人口知能の活用は、今後さらに大切になりそうだが、そもそも人口減少は経済活動の縮小など私たちの生活に直結する問題だ。福島県は2024年度の予算で、出会いから育児までライフステージに応じた支援をする「結婚・子育て応援事業」に3.8億円、移住・定住を進める事業に1.3億円を計上するなど人口減少対策に本腰を入れている。“待ったなし”の本気の取り組みが求められている。

支援など福島県も人口減少対策に本腰
支援など福島県も人口減少対策に本腰

(福島テレビ)

福島テレビ
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