4月8日午前、宮崎県を襲った最大震度5弱の地震。午後には震度2の地震も。けが人や被害はなかったが南海トラフ巨大地震が頭をよぎった人も多かったのでは。今回の地震のメカニズムや南海トラフにつながる可能性について専門家に聞いた。
8日午前、最大震度5弱
8日午前10時25分ごろ、大隅半島東方沖を震源とする最大震度5弱の地震が発生。地震の規模はM5.1、震源の深さは39キロ。揺れは日南市で震度5弱、串間市などで震度4、宮崎市・都城市・三股町・高原町で震度3を観測した。この地震による津波はなかった。
この記事の画像(6枚)県危機管理課によると、けが人の情報は入っていない。停電などライフラインへの影響や列車の遅れ、運休など交通への影響もなかった。揺れの強かった地域では、落石やがけ崩れなどが起こりやすくなっている可能性があり、今後も注意が必要だ。
震度5弱 その時、日南市では
震度5弱を観測した日南市役所前で話を聞いた。日南市役所では地震発生直後から警戒本部を立ち上げ、自治会ごとに情報収集を行ってきたが、被害の情報は入っていない。しかし市役所のすぐ近くにあるコンビニエンスストアでは、棚に陳列してあった調味料のビンが落ちて割れる被害が出ていた。
日南市危機管理室 伊知地室長:
「地震発生当時は執務室で業務をしていた。最初はタテ揺れ気味で「ドン!」と打つような揺れを感じてそのまま横に10数秒揺れた感じだった。まず職員に大丈夫かと声をかけて身を守る体勢を取るように指示した。」
Q.今回の地震で改めて感じたこと、市民に伝えたい事は?
「1月に能登地震があったが、いつ、この宮崎で地震が発生するかわからないので備えを十分にしていただきたい。意識を高く持って防災への取り組みを推進していきたい。」
8日の地震はどんな地震?専門家は
京都大学防災研究所 宮崎観測所の山下裕亮(やました・ゆうすけ)助教が解説する。
山下裕亮助教:
「フィリピン海プレートの中で起こった地震であり、南海トラフや日向灘地震などのプレートが沈み込んで起きる地震とは違ったメカニズム。マグニチュード5程度の地震は年間に数回起こっているが、これだけ近いところで起こったため、震源に近い日南市や串間市で強い揺れが起きた。津波についてはマグニチュード6.5や7を超えてくると、発生する危険が高くなる。」
Q.宮崎で地震と言うと、「南海トラフ巨大地震」がよぎるが、関係性は?
「今回の地震は規模が小さいため、南海トラフとの関係性はない。みなさんが警戒しなければいけないのは、マグニチュード7や8という規模の地震。」
8日午後の地震との関連は?
Q.8日は午後2時前にも日向灘を震源とする最大震度2の地震が発生した。午前、午後と地震が発生し、心配になる。
「午前の地震は南側、午後の地震は北側で発生したため、地震としてはまったく別の地震。たまたま同じタイミングで起こった。午前中の地震が影響したかもしれないが、さほど大きな影響はなかったと思う。」
気象台は今後1週間程度の注意を呼びかけ
地震を受けて宮崎地方気象台も緊急の記者会見を開いた。今後1週間程度、同程度の地震に注意するよう呼びかけている。過去のケースから見ると、地震発生後1週間のうちに同じ規模の地震が発生する割合は1割から2割あり、引き続き注意を呼びかけている。
また宮崎県内では、雨が続いていたため地盤が緩んでいる可能性があることから、揺れの強かった県の南部平野部などでは落石やがけ崩れにも注意が必要だ。
その時、あなたは?
UMKアプリで視聴者の意見を募集したところ、200人以上の方からメッセージが寄せられた。
日南市 グランマハウスさん(60代女性)
激しい揺れが数秒間あったのでそのまま家の中にいた。家の中の被害はなかった。地震の揺れを、最初「めまいかな?」と思っていたら激しい揺れが来た。
日南市 百姓ランナーさん(70代男性)
強い風が吹いた?と同時に激しい揺れが起きた。家にいたが外に飛び出した。
宮崎市 ピッピさん(30代女性)
3歳の子供とリビングにいた。子供をテーブルの下に押し込んで自分は窓を開けた。
山下助教からのメッセージ
「今回はM5.1と小さかったが、実際に皆さんが気を付けなければならないのはM7。場合によっては8。これは1分ぐらい揺れる。今回は一瞬で地震が終わったが、これがもっと長くなるという事を考えて、どう対策すればよいか考えてほしい。宮崎に住んでいる以上、地震は避けて通れない。今回の地震を避難訓練と思って今後に生かしてほしい。」
改めて確認:地震への備え
・家具は倒れてこないように固定
・日頃からスリッパを履く
・出入り口、通路に物を置かない
・食器が飛び出ないようにする
津波を想定し、けがをせずに避難できるような対策が必要だ。今、できていない人は、今からでも、少しずつでも、準備を進めてほしい。
(テレビ宮崎)