島根・出雲空港と愛知・中部国際空港(セントレア)を結ぶ新路線が2024年3月31日に就航した。すでに運航中の名古屋(小牧)便と合わせると、出雲と中京圏を結ぶ空の便は1日3往復となる。アクセス向上で、首都圏、京阪神に比べて“未開拓” の感が強い中京圏とのビジネス・観光面での交流拡大が期待される。

期待の第1便 放水アーチで歓迎

3月31日午後の出雲空港。
ターミナルビル屋上の展望デッキでは、大勢の人が滑走路に注目していた。

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福岡から訪れたFDA・フジドリームエアラインズのファンだという女性たちは「これから中部空港に乗って行きます。そしてまた福岡に帰ります、日帰りで」と興奮気味に話した。
どうやら、新路線の初フライトに搭乗するのがお目当てのようだ。

やがて、姿を見せたのは、ピンクのFDA機。
フジドリームエアラインズが開設した新路線、愛知県の中部国際空港から到着した第1便だ。

早速、放水アーチで歓迎を受けた。

中京圏のアクセス向上 島根に観光客を

出雲空港と中京圏との間には、名古屋小牧空港と結ぶ便が1日2往復運航されていたが、新たに中部便が加わって1日3往復態勢にアクセスが向上した。

空港ロビーでは、降り立った第1便の乗客を県や出雲市の関係者などが出迎えた。

また、出雲からの第1便出発に先立って、就航記念セレモニーが行われた。

FDAの楠瀬俊一社長は「小牧(名古屋)空港は、従前通り、そこそこの搭乗率を維持しているので、名古屋を中心とした中京地区の人の行き来に加え、セントレアから他の国内、あるいは外国から、出雲大社、松江城をはじめとした観光資源の豊富な島根県に人をどんどん呼び込んでいただきたい」と、新路線のメリットを強調した。

国際拠点空港と“直結” インバウンド誘致に期待

「セントレア」の愛称をもつ中部国際空港は2005年に開港、年間の利用旅客数は、コロナ禍前、1200万人あまりにのぼる。成田・関西と並ぶ国際拠点空港で、直行便開設により外国人観光客の利便性が向上、今後、インバウンド誘致の追い風になりそうだ。

さらに、中部便にはもうひとつメリットがあった。愛知県東部の三河地方からもアクセスの良い立地だ。

実際、ビジネスで利用したという女性は「営業所が常滑市にもあって、小牧(名古屋)空港に行くよりもセントレアから乗った方がすごく近いので、めちゃくちゃありがたい」と話した。

また、実家への帰省のため利用した女性も「刈谷市在住なので、セントレアまでは車で30分と便利でありがたい。帰省しやすくなったと思う」と、中部空港との新路線を歓迎した。

FDAも、名古屋(小牧)と中部の2空港に就航することで、愛知県内のより広い地域から利用が期待できるとしている。

中部発は好調に“離陸” カギは出雲発

就航初日、中部発の第1便の搭乗率は90%と好調な滑り出しを見せた一方、出雲発の初便は69%に留まった。路線維持の目安は平均搭乗率70%とされ、出雲からの利用をこれからどう伸ばすかがそのカギといえる。

中部発は好調な滑り出し
中部発は好調な滑り出し

利用促進へ 島根県もバックアップ

島根県は、2024年度予算に4700万円余りを計上、路線PRや個人利用を対象にした助成金など利用促進に取り組むことにしている。

島根県・石原恵利子政策企画局長(現副知事)
島根県・石原恵利子政策企画局長(現副知事)

島根県・石原恵利子政策企画局長(現副知事):
「島根県と東海地方、そして海外との往来が一層便利になりますので、積極的な利用促進に努めて参りたい」

出雲空港では、同じ3月31日、1月から運休していた静岡便(FDA)も運航を再開。
空の便が拡充され、首都圏、京阪神に比べ、“未開拓” の感が強い中京圏・東海地方がぐっと近づいた。

この貴重なチャンスをビジネス・観光面での交流拡大につなげられるか、そして、拡充された空のルートをどのように守っていくか、利用促進に向け、官民一体の取り組みが、今後、いっそう重要になる。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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