2023年12月31日の夜、福岡・北九州市で女性が顔を拳で何度も殴られ死亡した。犯人は被害者の実の兄でもあり警察官だった。事件はなぜ起きたのか?事件当日、不審な物音を聞いていた被害者の夫と息子は、今も自責の念で眠れない日々が続いている。

大晦日の夜…失った「最愛の妻」

仏壇の中で、優しくほほ笑んでいる明るい笑顔が印象的な女性、山本美智恵さん(当時55)。仏壇の前で手を合わせるのは、美智恵さんの夫だ。

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2023年の大晦日の夜、夫は「最愛の妻」を突如、失った。結婚30周年を迎えるはずだった。

亡くなった美智恵さんの夫:
ものすごく歯がゆいし、警察が事件を起こしているので許しがたい。犯人は被害者の実の兄でもあります

美智恵さんを死亡させた疑いで逮捕されたのは、美智恵さんの実の兄で田川警察署地域第三課の警部補・廣瀬守隆被告(57)。

検察は鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断し、2024年3月29日、廣瀬被告を傷害致死の罪で起訴した。廣瀬被告は2023年12月31日の夜、北九州市門司区の実家などで、妹の美智恵さんの顔を拳で何度も殴るなどの暴行を加えて死亡させたとされている。

現役警察官の廣瀬被告と実の妹の間に一体、何があったのか?亡くなった美智恵さんの夫が事件後、初めてメディアの取材に応じ、事件当日の状況について語った。

聞こえてきた「ドンドンドン」という音

廣瀬被告と美智恵さんは「普通以上に仲が良かった兄妹だと思う」と美智恵さんの夫は話す。

事件が発生した大晦日の夜、廣瀬被告は昼から夜にかけて、美智恵さんやほかの親族らと飲食店を3軒回り酒を飲んでいた。一方、夫の山本さんは、20代の息子と2人で自宅でテレビを見ながらくつろいでいたという。

亡くなった美智恵さんの夫:
夜の10時くらいだったかもしれませんけど、「ドンドンドン」ってドアを叩く音、下(2階)の部屋を叩く音が聞こえていました

山本さんの家は3階建ての2世帯住宅。3階に山本さん家族が住み、2階が廣瀬被告や美智恵さんの実家となっていた。

「鍵が閉まっているから扉を叩いている」と美智恵さんの夫は思ったという。しかし、どんどんと扉を叩く音は5分おきくらいに聞こえてくる。一緒にいた息子に「3階の扉を開けて入れてあげたら」と促したが、息子は開けるのを拒んだという。その理由は、廣瀬被告の“酒癖の悪さ”からだった。

亡くなった美智恵さんの夫:
声が大きくなったりとか、しつこくなったりとか、息子は「騒がしくなるから嫌だ」って感じていたと思うんですよ

しかしその後、事件は起きてしまった。

顔では判別できないほど…

山本さんは身元の確認をしてほしいと搬送先の病院へ向かった。妻の美智恵さんはICUにいた。

亡くなった美智恵さんの夫:
顔じゃ、判別できんやったです。髪の毛の色がなんとなく似てるなって…。顔じゅうの穴という穴から全部、血が出てて、紫色です。顔色は…。手術痕と体の背格好、髪の色、一致することがあるので「おそらく、そうでしょう」と返事しました

「ドンドンドン」とあの夜に聞こえた物音。事件からまもなく3カ月がたつが、自責の念で眠れない日々が続いている。

亡くなった美智恵さんの夫:
子どもも僕もあの時、少し見にいけばよかったなって…。こんな事件が起きるってわかっていたら守りますよ。女房は、家の中で虫が出ても「キャー、お父さん!」とかいう声が出るんですけど、そんな声も出せずに瞬時にやられてる。だからものすごいかわいそうだなって。「お母さん、今までありがとう」としか言えませんでした。みんなからあてにされる女房でした

「思い出せない」被告は容疑を否認

廣瀬被告は逮捕後の調べに対しては「拳で複数回、殴打した事実は思い出せない」と容疑を否認。

亡くなった美智恵さんの夫:
「わからない」って言って逃げてるのかなって…。本当に悔しいですよね

2人に何があったのか?真相の解明は法廷の場へと移る。

(テレビ西日本)

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