1日、静岡県庁に入庁した新人職員を前に挨拶を行う、川勝平太(75)知事。

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静岡県 川勝平太知事(1日):
心は素直でウソ偽りを言わない。言葉遣いはとても大切です。

こう職員に説いた直後、職業差別ともとれる発言が飛び出した。

静岡県 川勝平太知事(1日):
実は静岡県、県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいはものを作ったりとか言うことと違ってですね、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い方達です。

一方、SNSを中心に拡散されているのが、万博批判を行う民放番組と出演ジャーナリストを念頭に、大阪府知事を務める大阪維新の会吉村洋文(48)代表が言及したこの発言。

大阪維新の会 吉村洋文代表:
今批判してるね、名前はいいませんけどね、「モーニングショー」の玉川徹、今批判するのはいいけど入れさせんとこと思って。「モーニングショー」は禁止、玉川徹は禁止と言うたろうかなと。

2人の知事の発言に、波紋が広がっている。

テレビ朝日「モーニングショー」や玉川徹氏の名を挙げ“批判”

開催まで約1年となった今も、その是非を巡る賛否が渦巻く大阪・関西万博。
こうしたなか、万博を巡る大阪維新の会の吉村代表の発言動画が、今、拡散され波紋を広げている。
その発言とは、2024年3月に大阪維新の会のタウンミーティングで行ったとされるもの。

吉村氏が持ち出したのは、万博の開催や会場に設置予定の巨大リングの建設などに否定的だとする情報番組。テレビ朝日「モーニングショー」や、番組のコメンテーター・玉川徹氏の名を挙げ、次のように発言した。

大阪維新の会 吉村洋文代表:
(建設中のリングが)これは本当にすごいからね。できたら、絶対これは多くの人がこのためだけに来るぐらいになるから、今僕言ってるんですよ。今批判してるね、名前言いませんけど、「モーニングショー」の玉川徹。今批判するのはいいけども、入れさせんとこかと思って。入れさせてくれと、「これ見たい」って言っても、もう「モーニングショー」は禁止といって、玉川徹禁止って言ったろうかなと。

隣には大阪市の横山市長。時に会場から笑いや拍手も起きるなか、飛び出した万博会場への特定の番組や個人の「出禁」、出入り禁止を示唆するような発言。
“出禁発言”はネット上に拡散され、様々な反応がわき起こった。

「自分の立場も分からず、平気で口にするような 幼稚な人が知事とか」
「本当に吉村の発言、軽すぎる。吉本の漫才レベルや ホンマに大阪府知事なん?」
「吉村知事の発言、そんなに怒ることかな?そんな言葉の揚げ足取りじゃなくて、他に指摘することがあるでしょ?」

一方、日本維新の会の馬場代表はX上で次のように吉村知事を“援護射撃”。

「イッツ・大阪ジョーク。わからんかな?」

吉村代表「実際に出禁にする権限は全くない」

騒動が広がる中、1日、当の吉村知事本人がこの“出禁発言”について、発言を認めた上で次のように説明した。

大阪維新の会 吉村洋文代表:
僕自身が本当に“出禁”にする権限があれば問題だと思います。だけども、実際に出禁にする権限は全くないのは当然のことで、できないという前提の発言です。

出禁にする権限はなく、言論統制には当たらないと釈明。その上で、吉村氏は知事としてではなく、一政治家として、「モーニングショー」の報道や玉川氏の発言の偏りに疑問を投げかけたのだという。

大阪維新の会 吉村洋文代表:
万博に対する批判というのは、「モーニングショー」をおいてもずいぶんされている、これはあるべき姿だと思います、ただ、僕はそれが非常に偏りすぎていると、賛否両論をもう少し公平にやって貰いたいと。

撤回も謝罪もせず。一政治家として行ったという、この吉村氏の発言について専門家は…

危機管理に詳しい レイザー株式会社 大杉春子代表:
公的なイベントである万博を、個人でコントロールできるかのような印象を与えかねません。報道の自由に対する圧力と受け取られる可能性があると感じました。「何を言いたかった」という意図は、公的な人が発言するところにおいて、実はほとんど無力です。問われるのは、世の中に「何が伝わった」かという結果のみです。

今回の“出禁発言”について、テレビ朝日側は「特にお答えすることはありません」とコメントしている。

「“野菜売り”や“牛の世話”と違って知性の高い方達」

一方、こちらは静岡県の川勝知事の発言。1日、静岡県庁に入庁した新人職員を前に挨拶を行っていた。

静岡県 川勝平太知事(1日):
心は素直でウソ偽りを言わない、言葉遣いはとても大切です。富士山に向かって恥ずかしい事はしないと。

時折笑顔を交え、社会人としてウソを言わない事や、“言葉遣い”の大切さを説く川勝知事。
しかしその直後、自分の言葉が問題となる職業差別ともとれる発言をした。

静岡県 川勝平太知事(1日):
実は静岡県、県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは、牛の世話をしたり、あるいはものを作ったりとか言うことと違ってですね、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い方達です。ですから、それを磨く必要があります。

“県庁職員は野菜を売ったり、牛の世話をする人らと違い知性が高い”。
県庁職員の“優秀さ”や“求められる資質”を、他の職業を引き合いに述べた形だが、“嘘偽りを言わない事”を説いていた川勝知事にとって、この発言も“本心”なのだろうか…。

“川勝知事発言”に青果店の人々は…?

新社会人の晴れやかなスタートの日に飛び出たこの“知事発言”に、静岡県民は「そんなことをおっしゃっていたんですね。まるで、そちらの頭脳とか使う方を上にあげているような言い方に、私は聞こえてしまうので。表現としてはよくない」「古い(考えの)人だよね。考えてから言って貰いたい。みんな傷ついちゃうじゃん」などと話した。

そして、川勝知事発言で県の職員と比較された野菜を売る「青果店」の人々に話を聞いてみると…

青果店で働く人:
ショックと言うより、怒りだね。だったら1日八百屋の職場体験やってみろと。

115年続く別の青果店の店主も…

青果店で働く人:
(知事の発言は)人種差別と同じで、八百屋なりになくちゃいけない職業なんですよ。腹が立つというか言っちゃいけない言葉だと思いますよ。
(「イット!」4月2日放送より)