秋田の冬の食卓に欠かせない「ハタハタ」がピンチを迎えている。今シーズンのハタハタの漁獲量が、禁漁明けの1995年以降で最も少なかったことがわかった。県魚・ハタハタは私たちの手の届かない存在になってしまうのだろうか。
今後数年間は不漁続くか
禁漁が解禁された1995年以降の秋田県内のハタハタの漁獲量は、禁漁が功を奏して3000トン台まで回復した時期もあった。しかし、ここ10年ほどは記録的な不漁が続いている。
この記事の画像(6枚)3月26日に秋田市で開かれた「ハタハタ資源対策協議会」では、2023年9月から2024年1月までの県全体の漁獲量は109トンで、禁漁明けの1995年以降で最も少なかったことが報告された。
不漁の要因として、県水産振興センターは、ハタハタの生息数が減少する時期に入り元々の数が少ないことや、海水温の上昇が産卵や稚魚の成育に悪影響を及ぼしていることなどを挙げている。
加えて、2023年に行った底引き網での調査の結果、卵からふ化したばかりの0歳魚が確認されなかったことから、「今後数年間は深刻な不漁が続くのではないか」と分析している。
さらに、現場の漁師からは、「サメが最近増えすぎていて、サメの食害で小さいハタハタが食べられているという認識。1000円でも2000円でも買うようにしてくれれば、サメを取ってもうけになるし、ハタハタも増えていくのではないか」という声が上がった。
”漁獲枠の制限強化”も視野に
ハタハタという食文化が失われてしまうのではないかと、委員は危機感を募らせている。
県ハタハタ資源対策協議会・西方強委員:
単価が高ければハタハタはだめ。県民魚だし、みんなに行き渡るくらいでなければ。一時的に漁師はいいけれど、ハタハタ離れしてしまえば大変
協議会は、7月以降に来シーズンに向けた資源を管理するための計画を検討する方針で、漁獲枠の制限の強化なども視野に入れている。
食文化の存続も大事だが…
不漁の傾向は秋田以外の地域でも見られている。青森から富山までの5県の2023年1月~12月までの漁獲量は、ほとんどの地域で前年より大幅に減少した。
また、まとまった水揚げは、県内は男鹿市北部より北の地域、青森では秋田との県境に近い深浦町岩崎地区に集中していて、地域で偏りが目立っている。
秋田の食文化をいかに守っていくかを考える一方で、漁師のなりわいを確保するためには、ハタハタに頼らない漁業を確立することが急がれる。
(秋田テレビ)