国は26日、全国各地の今年の土地の価格「公示地価」を発表。大阪・ミナミの繁華街の価格はどうなったのか?そして、新駅の誕生で熱い「あの街」はどうなっているのだろうか。
【動画】大阪の地価 "ミナミ"など商業地2年連続上昇・住宅地は3年連続 新駅開業の箕面は「以前の3倍ぐらい」
■観光客でにぎわう大阪・ミナミの繁華街 地価上昇
東京から来た観光客:(たこ焼きを食べて)おいしいです。
東京から来た観光客:すでに1回食べてるんですけど。観光客の方が多くて歩くのも大変なぐらい狭くて。めちゃめちゃ混んでます。
にぎわいは、土地の価格にも表れています。国は26日、土地取引の目安となる「公示地価」を発表。大阪府の商業地はプラス6.0パーセントと、2年連続の上昇となった。道頓堀など、繁華街が多い大阪市中央区では上昇率12パーセントを記録している。

土地価格の上昇を支えるのは、「インバウンド」だ。
アメリカから来た観光客:とても楽しいです。特にここは楽しい。
アメリカから来た観光客:いろいろなものがあります。多分ニューヨークよりも。
お土産店いちびり庵 幡野有香店長:お客さんは、歩いている方は海外の方が目立っていまして、うちのお店に来てくれている方はアジアの方が多いですね。
■観光客復活の大阪・ミナミは土地価格も復活

中でも、大阪府内で最も価格の上昇率が高かったのは、大阪・道頓堀の串カツ店だ。実はこの場所、数年前までは、土地価格の「下落率」で全国1位となっていた。もともとは大阪で長年愛された「ふぐのづぼらや」があった場所。しかし、新型コロナの影響を大きく受け、2021年には1年間で土地価格が28パーセント下落。さらにコロナ禍の間に「づぼらや」が閉店。
シンボルを失い、さみしい時期が続いていたが、去年12月に串カツ店がオープン。まだ、新型コロナの影響を受ける前の価格には届かないものの、大阪を象徴する繁華街の復活が見て取れる。

新世界串カツいっとく 道頓堀戎橋店 日野顕正店長:うちのオーナーがづぼらやさんとご縁があって、それで(店を)出したって感じですね。もっと(売上)いくんじゃないんですかね。それくらいの流れやと思います、人の流れは。
■新駅開業の箕面市 大阪の住宅地でNo.1の上昇率を記録

一方、大阪府の「住宅地」の価格は去年からプラス1.6パーセントと、3年連続で上昇。中でも注目を集めているのが、3月23日に北大阪急行が延伸して、箕面萱野駅、箕面船場阪大前駅が誕生した「箕面市」だ。
あびこ駅(御堂筋線)から来た人:(直通で)一本だから、どんなとこか見に来てん。早かったわ。
吹田市民:延伸する前って、なかなか箕面の方まで来ることなかったんですけど、伸びたことで箕面がすごく近くなって。
2つの駅で合わせて最大4万5000人の利用客を見込んでいるとあって、「新駅効果」でここ数年、土地の価格は上昇傾向にある。
記者リポート:こちら、箕面船場阪大前駅から徒歩10分ほどの場所です。ここが大阪府で最も土地の価格が上がった住宅地となりました。
今年、大阪府内の住宅地でナンバーワンの上昇率となった箕面市船場西1丁目の土地は、1年で8.7パーセントも上昇した。
箕面市民:もう本当にいいとこだな~と思ってます。
豊中市民:箕面って自然がすごい豊かなので、子供がすごい喜ぶスポットもたくさんあって、環境がすごくいいので、(移住)考えちゃいますよね。
■箕面市の不動産会社は「も~バブルですよね」

50年近く箕面市で土地や建物を売買してきた不動産会社を訪ねた。
箕面ハウジング 大出将夫代表取締役:(Q箕面の地価は上がってるんですか?)めちゃくちゃ上がってますね。も~バブルですよね。
大出社長が案内してくれたのは…
箕面ハウジング 大出将夫代表取締役:新駅、箕面萱野駅徒歩3分という立地になります。
箕面萱野駅にも箕面キューズモールにもすぐ行けるこの土地の値段は「4180万円(1坪あたり163万円×25坪余)」。
箕面ハウジング 大出将夫代表取締役:(1坪)40万~50万ぐらいで買える場所だったんですけどね。3倍ぐらいの価格になっています。新大阪、梅田、淀屋橋、本町、心斎橋、なんばに一本で通勤できるんで。まだ30代の方でしたら、サラリーマンで30年~40年通勤考えたら、やっぱり一本で行けるっていうのはね(便利)。
さらに8950万円(およそ1坪220万円×40坪)の土地もある。
箕面ハウジング 大出将夫代表取締役:これ高すぎますけども。(Q高すぎますね。土地だけですか)土地だけです。(駅から徒歩)10分以内(の物件)はないんですよ。
「駅チカ」物件は高すぎる上に、数も限られていて、簡単には購入できそうもない。そんな中で人気が集中して価格が急上昇しているのは駅から少し離れた物件だという。
箕面ハウジング 大出将夫代表取締役:ここ(駅前)は高すぎて買えない。ここは調整区域で家が建てれないということで、周りの(徒歩)10分以上の所で皆さん探されている。取り合いです。もう北大阪急行延伸、新駅の方がいいというお客さまは、そういうふうになりますよね。
■箕面市はさらなる発展を目指し進化中

箕面市は、この流れに乗ってさらなる発展を目指す。
箕面市 北急まちづくり推進室 黒田達人室長:非常に喜ばしく感じております。(東部の川合・山之口地区で)今、土地区画整理で造成を進めてまして、そこに大型の商業店舗に入っていただいたり、カフェですとか交流施設も含めて入っていただこうと。
新駅誕生をきっかけに、箕面市の土地の価格は今後も上がっていくのだろうか。
■土地価格上昇のポイント「人が集まり、利便性維持、ブランド確立」と専門家

まず道頓堀の土地価格だが、最大25パーセント上昇となった。新型コロナ前の価格には戻っていないものの、この先コロナ前を超えることもあるのだろうか。「newsランナー」コメンテーターでエコノミストの崔真淑さんは、「超えると思っています」と話すた。
崔真淑さん:私は超えると思います。円安の影響でインバウンドの外国人観光客が見込める。そして円安で海外マネーが入ってきやすい。さらに人口減少時代という話はあるんですけれども、人口が減れば減るほど、都市部に対しての人口集中度は高まりやすいんです。ですので、人口が増えやすい地域でもありますので、十分可能性もあるんじゃないかなと思ってます。
それから箕面市。新駅が開業し、今、絶好調といってもいいが、交通網が発達するとやはり土地価格はどんどん上がるものなのか。
崔真淑さん:それは間違いなく上がりやすいです。ただ、全てが上がるんじゃなくて、都市部から近いとか、箕面市のようにそもそもブランドが確立されているところはさらに上がりやすいです。全ての郊外が上がるわけではないことは、押さえておきたいポイントだと思います。鉄道があっても、あまりに人が減っていくと廃線になったりバスがなくなることもあります。人が集まりやすく、利便性も維持されやすく、しかもブランド性が確立されてるっていうのが重要ですね。
土地価格の動向に今後も注目だ。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月26日放送)