“2分15秒のメッセージ”に込めた思い

2分15秒のビデオメッセージで自身のがんを公表したキャサリン妃。その姿が今、世界の心を震わせている。

メッセージが公開された翌日、ロンドンでキャサリン妃について聞いてみると…

「彼女はイギリス王室の未来です」
「みんなから愛されています」
「とてもいい人で、いい母親です」

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英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
キャサリン妃はイギリス王室の中で最も人気があります。かつてダイアナ元妃に感じていた興奮を彼女に重ねているのでしょう。

キャサリン妃のビデオメッセージ
「この場をお借りして、私から直接、素晴らしいお見舞いのメッセージや手術後の静養にご理解を頂いたことに感謝をお伝えしたいと思います。私たち家族全員にとって、この数カ月は信じられないほど大変なものでしたが素晴らしい医療チームが私の治療にあたって下さり、本当にありがたいと思っています」

「1月にロンドンで腹部の大手術を受けました。当時はがんではないと思われていました。手術は成功しました。しかし手術後の検査でがんが見つかったのです。そこで私の医療チームは予防的な化学療法を推奨してくださり、私は今その治療の初期段階です。このことはもちろん大きなショックでした」

「ウィリアム皇太子と私は子どもたちのために、このことを内密に進めることに全力を尽くしてきました。ご想像の通りこれには時間がかかりました。私は大手術後、治療に耐えられるまで体力を回復するのに時間がかかりました。しかし最も重要なことはジョージ、シャーロット、ルイにとって適切な方法で全てを説明し私が大丈夫だと安心させるのに時間がかかったことです。子どもたちにも言いましたが、私は元気です」

「治療に専念することで心も体も精神も日々強くなってきました。ウィリアム皇太子がそばにいてくれることも、大きな慰めと安心の源です。多くの皆さんからの愛、サポート、優しさも私たち2人にとって、とても意味のあることです。私が治療を終えるまでの間、私たち家族には、時間や、プライバシーが必要であることをご理解いただきたいと思います」

「公務はいつも私に深い喜びをもたらしてくれましたし、復帰できる日を楽しみにしています。ただ今は完治することだけに専念させてください。今は、がんに人生を左右された全ての人々のことも考えています。どのような形であれ、この病気に直面している皆さん、どうか信念や希望を失わないでください。あなたは一人ではありません」

英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
痩せ細った彼女は、真剣な表情でメッセージを伝えました。それが“現代のプリンセス”であると感じたのでしょう。王室の一員がこのような映像を出すのを私はこれまで見たことがありません

Mr.サンデーが取材したのは、イギリス王室専門誌の名誉編集長イングリッド・スワード氏。王室を40年以上取材し、その内情を知るイングリッド氏も驚いたという“異例”のがん公表。

しかも、医師によればキャサリン妃が腹部の大手術をしてから、まだ2カ月ほどしかたっていいない中での公表だった。

イギリス インペリアルカレッジ・ロンドンのがんの専門医プライス教授も、このビデオメッセージに驚いた一人だ。

インペリアルカレッジ・ロンドン パット・プライス教授
化学療法はつらい治療です。具合がよくない中で語るのは難しいはずですが、それでも彼女は自らの口で説明しました。

非公開だった病名をなぜ自ら公開したのか?

キャサリン妃を突き動かしたものとは、いったい何だったのだろうか?

去年12月のクリスマスに撮影された映像で、ブルーのコートを着たキャサリン妃は、家族で王室恒例のミサに参加。終始、にこやかな表情を浮かべ周囲に気を配る様子が映っている。また、ルイ王子に手を添えながら階段を下りる足どりも、しっかりしているよう見える。

だが、それから1カ月も経たないうちに、王室はキャサリン妃が手術を受けたと発表。本人の意向により、病名などは非公開とされた。

クリスマス以降、公の場に姿を見せていないキャサリン妃。その健康状態をめぐり、国内外では様々な憶測が飛び交った。

そんな中、物議を醸したのが…3月10日、イギリスの「母の日」に公開された、キャサリン妃が3人の子どもたちに囲まれた1枚の写真。

英王室のインスタに掲載されたキャサリン妃の写真
英王室のインスタに掲載されたキャサリン妃の写真

その姿に、現地メディアは「すごく健康そう」だと伝えていたが、ほどなくして、この写真には複数の加工が施されていることが判明。

通信社が配信した写真を使用禁止にするなど騒動になると、キャサリン妃は「多くのアマチュア写真家のように、私も時として写真を編集することがあります。混乱を招いたことをおわびします」と謝罪文を出したが騒動は収まらなかった。

ロイター通信も配信画像を「没」にするよう指示
ロイター通信も配信画像を「没」にするよう指示

王室を知るイングリッド氏によれば、ここに、ビデオメッセージを出した1つの要因があるという。

英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
世界中のネットに罵詈雑言がはびこっていました。非常にひどいことを言って、多くのことがでっち上げられています。今回のビデオメッセージは効果があったと思います。感動的でしたから、今は多くの共感が寄せられているんです。

懸命に病と闘う人たちに寄り添い…

さらに、キャサリン妃には大切にしてきたことがある。

英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
キャサリン妃はがんに苦しんでいるのが世界で自分だけではないことをよく知っています。彼女は常に他の人のことを考えられる人間です。

結婚前のキャサリン妃が参加していたのは、がん患者のためのチャリティーイベント。

さらに、王室に入ってからは子どもの支援に力を入れてきたという。2011年にはウィリアム皇太子と一緒に、がん患者の子どもたちを訪問。海外公務でも、がん専門病院の小児病棟へ足を運んでいた。

2018年には、ロンドンにある小児病院の後援者に就任するなど、数々の難病と必死に闘う子どもたちに、寄り添ってきたキャサリン妃。

自らががんと闘う立場になった今、ビデオメッセージにはその思いがにじむ言葉が…

キャサリン妃のビデオメッセージ
「あなたは一人ではありません」

キャサリン妃が子どもの支援に力を注ぐ中では、こんな出会いもあった。

4歳の時から白血病を患い、闘病を続けていたファビアン・ベイトくん、当時9歳。長い入院生活を余儀なくされているファビアンくんに、キャサリン妃は手紙でメッセージを送っていた。

親愛なるファビアン

受けている治療が非常に厳しいものであるにも関わらず、あなたの強い人柄に私はとても感動しています。今年、お姉さんの一人があなたに骨髄を提供できるという知らせを聞いてうれしく思いました。あなたの信念と前向きなエネルギーが相まって、あなたはこれ以上ないほど良い状態にあります。あなたとご家族のことを想い、祈っています。

キャサリン

チャールズ国王の公表に背中を押され…

懸命に病と闘う人たちへの想い。また、王室に詳しいイングリッド氏によると、がんを公表したキャサリン妃の背中を押したであろう出来事がある。

英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
チャールズ国王が前立腺に問題があると発表したことが、国民から前向きに受け入れられたと、彼女は理解したのだと思います。

2月、チャールズ国王が前立腺の治療のために入院した際、別の場所でがんが見つかったと発表。するとその後こんなことが起きたという。

英王室専門誌イングリッド・スワード名誉編集長:
国王の発表を聞いて多くの人たちが検査を受けに行きました。その事実に国王はとても勇気づけられたそうです。

キャサリン妃もがんを公表することで、健康への関心が高まることを願ったのだろうか…

イギリスのがんの専門医はキャサリン妃の言葉を、次のように受け止めた。

イギリスのがんの権威 パット・プライス教授
彼女自身が難しい時期なのに、他の人のことを考えて公表を望まれたのは素晴らしいです。イギリスでは1日に1000人ががんと診断されています。一人じゃないとご自分から手を差し伸べられたというのは非常に重要なことです。

キャサリン妃のビデオメッセージ
「子どもたちにも言いましたが、私は元気です。治療に専念することで、心も体も精神も日々強くなってきました。公務はいつも私に深い喜びをもたらしてくれましたし、復帰できる日を楽しみにしています。今は、がんに人生を左右された全ての人々のことも考えています。どのような形であれ、この病気に直面している皆さん、どうか信念や希望を失わないでください。あなたは一人ではありません」

(Mr.サンデー 3月24日放送より)