遮断機も警報機も設置されていない「第4種踏切」の安全性向上のため、JR西日本が踏切用の「ゲート」を開発、山陰エリアの線区に初めて設置された。

シンプルな仕組みながら高い効果が見込めるという、踏切事故防止の「新兵器」を取材した。

山陰エリアに「踏切ゲートlite」を初導入

島根・雲南市大東町を走るJR木次線。

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下久野駅と出雲八代駅の間にある宮の下踏切は、人がようやくすれ違えるほどの道幅で、遮断機も警報機も設置されていない「第4種踏切」だ。

ここに設置されたのが、その名も「踏切ゲートlite」。
JR西日本が開発した、こうした小さな踏切での事故防止の“新兵器”だ。

踏切手前に「遮断桿(かん)」と呼ばれるバーが常時降ろされており、踏切を渡るときは、歩行者が自分でバーを持ち上げて通過する。
歩行者は、踏切手前でいったん立ち止まり、安全を確認するよう促される仕組みだ。

「遮断桿(かん)」は強化プラスチック製でとても軽く、片手でも簡単に持ちあげることができる。また、踏切から出るときは、バーを押せば、速やかに通過することができる。

「第4種踏切」の安全性向上へ

山陰エリアでもよく見かけるこの「第4種踏切」。これまでも危険性が指摘されてきた。
実際に、2022年には、JR境線で男子高校生が列車にはねられ死亡する事故が起きている。

各地で事故が後を絶たない状況に、国は、「第4種踏切」の廃止や遮断機と警報機を備えた「第1種踏切」に改良するよう鉄道会社に勧告しているが、費用負担の大きさがネックになっている。

そこで、JR西日本が導入を始めたのが、この「踏切ゲートlite」。2023年10月から、中国地方の22カ所で設置を進めている。
設置にかかる費用は「第1種」に改良する場合の10分の1以下、工事はわずか2時間で完了する。

JR西日本出雲保線区・畷昭久区長:
導入後の踏切障害事故は発生しておりません。通行者の方も、遮断桿をあげるという認識をもって、事故防止に寄与できていると思っています。

踏切ゲートを増設予定

「lite」という名前の通り、シンプルな仕組みで設置の負担は軽いが、大きな効果が期待できるようだ。この「踏切ゲートlite」は、3月18日に鳥取・湯梨浜町内にも設置される。

JR西日本は、2024年度中に山陰エリアで、さらに10か所程度増やす計画だ。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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