アルペンルートの富山県側、立山を貫く立山トンネルでは室堂と大観峰を結ぶトロリーバスが走っている。しかしこのトロリーバス、2024年で運行の終了が決まっている。今シーズンの「立山黒部アルペンルート」全線開通開通を前に、最後の春に向けて整備を進める技術者に密着した。
「トロリーバス」部品調達が困難に
春のアルペンルート開通を待つ、静寂に包まれた立山・室堂。
標高2450メートルに位置する室堂ターミナルの一角には、日本最高地点の「鉄道駅」が存在する。ここでは、日本で唯一トロリーバスが走行している。
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見た目はバスだが、架線からポールで電気の供給を受けて走る「レールのない電車」。つまり「鉄道」に分類されている。1996年の運行開始以来、のべ1920万人もの観光客を運んできた。
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立山トンネルでは、アルペンルートの開業以来運行していたディーゼルバスから、1996年にトロリーバスに転換。室堂と大観峰の3.7kmの区間を10分で結んでいる。
しかし、2024年11月末での運行終了が決まっており、国内唯一のトロリーバスはその姿を消すことになる。
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田計勇さんは入社以来23年、ずっと車両整備に携わってきた。最後のシーズンに向けて、準備に余念はない。
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トロリーバスの心臓部ともいえる「VVVFインバータ装置」。架線から取り込んだ直流の電気を交流に変換し、動力源となるモーターを制御する装置だ。東海道・山陽新幹線(300系)にも搭載されていて、トロリーバスが走るときの電車に似た独特な音は、この装置から出ている。
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立山黒部貫光(室堂運輸区)・田計勇さん:
パッと見、全然何が何だかわからないと思いますけど、すべての部品が大事で、どれかひとつでも壊れてしまうと走ることはできない。ちょっと作業をするときでも気を遣う。壊したら、そこで部品を交換しなくちゃいけなくなる
特殊な車両のため、部品を調達するのが難しくなってきたことが運行終了の大きな理由だ。
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立山黒部貫光(室堂運輸区)・田計勇さん:
この部分は、電圧かかった状態で接触したり離れたりしているので、焦げ付いていたりする。なのできれいに磨いてやって…。走り方もブレーキのかかり方も1台1台癖がある。そういう意味じゃ人間と一緒ですね
運行開始から28年 最後の春
現在の車両8台は、運行開始から28年走り続けてきた。
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立山黒部貫光(室堂運輸区)・田計勇さん:
自分が入社する前から走ってますので、ずっとこの会社にいる間はあるものだと思っていた。そういう意味では、「先輩」なんですよ。しっかり最後は送ってあげたい
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春に向けて試運転を繰り返し、5人の整備担当者たちが交代で安全を守っている。
立山黒部貫光(室堂運輸区)・田計勇さん:
営業中は(乗務員として)お客さんを乗せて走ることもある。たくさん乗せていただけたらいいかなと
国内唯一のトロリーバス。最後の春が近づいている。
(富山テレビ)