映画「ゴジラ-1.0」がアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。実はこの映画に登場する“ある戦闘機”が福岡と意外な縁がある。

ゴジラと戦うシーンで「震電」を操作

公開された映画の中で、最も優れたCGなどを用いた作品に与えられる「視覚効果賞」。これまで「スターウォーズ」や「アバター」などの名作が受賞してきたが、アジア圏の映画が受賞するのは史上初めてだ。

受賞の快挙で、いま、福岡の「大刀洗平和記念館」が注目されている。

福岡・筑前町にある「大刀洗平和記念館」
福岡・筑前町にある「大刀洗平和記念館」
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旧日本陸軍の陸軍飛行学校が大刀洗にあったことが由縁で建てられた筑前町の大刀洗平和記念館に、「ゴジラ-1.0」の撮影で使われた「震電」の実物大模型が展示されているのだという。

プロペラを後方に備え、前翼型の独特な機体形状を持つため“異端の翼”と呼ばれた「震電」。太平洋戦争終戦間際に福岡県の航空機製造会社「九州飛行機」で開発されたが、実戦で使われることなく終戦を迎えたことから“幻の戦闘機”とも呼ばれている。

映画では、俳優の神木隆之介さん演じる元特攻隊員の主人公が、ゴジラと戦うシーンでこの「震電」を操り、大活躍した。

アカデミー賞効果で来館者“増”

この日の大刀洗平和記念館には、アカデミー賞受賞効果もあってか、県外からも多くの人が訪れていた。

大阪からの来館者:
「ゴジラ-1.0」で見てかっこいいなと思ったので。見に来たが甲斐がありました

熊本からの来館者:
「こんなものに乗っていた」と生で見られるって、すごいことだと思うんですよね。感動です

館長の尾籠浩一さんは、「『ゴジラ-1.0』の受賞は、日本の映画、アジアの映画にとって歴史に残る作品になったと思う。その映画で使われた『震電』を記念館で展示するということは、非常に光栄なことだ」と話す。

「平和の大切さを考えてほしい」

映画の反響を受け、記念館には例年の2倍のペースで来館者が訪れているということで、開催中の「震電」に関する企画展を2024年5月9日まで延長することを決めた。

「大刀洗平和記念館」尾籠浩一館長:
当時の飛行場の歴史から、戦争の悲惨さ、平和の大切さ、命の尊さを考えていただきたいと館としては思っております

“戦闘機”としての「震電」が、大空を飛ぶことは二度とない。いま平和を願う記念館で翼を休め、静かに“戦後”を見つめている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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