九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発を巡り、とある計画の公募が締め切られた。その計画に名乗りを上げた「トライアル」が目指す「新しい街づくり」とは一体どんなものなのか。
動きだした「最後の大開発」
約50ha、「福岡ペイペイドーム」7個分にも及ぶ福岡市東区にある九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発を巡り、2024年1月30日に民間が担う部分の事業者を決める公募が締め切られた。
![九州大学箱崎キャンパス跡地](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/3/5/700mw/img_35d47328f2043a85f4698157d62d5d75491965.jpg)
この計画に名乗りを上げたのは、「国内最大級のアリーナ」建設を軸とした九州電力などのグループ、最先端のITを活用した街づくりを掲げるJR九州や西鉄、西部ガスなどで作るグループ、そして、福岡市東区に本社を置き、ディスカウントストアなどを全国に展開する「トライアル」の少なくとも3つだ。
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九大伊都キャンパスへの移転完了から実に6年を経て、ようやく動き出す福岡市「最後の大開発」。事業規模は1,000億円ともいわれる国内最大規模の再開発プロジェクトを勝ち取るのは果たしてどの企業か。
土地を所有する九州大学などは、内容や価格などを審査し、4月上旬に優先交渉権を得られる事業者を決める予定だ。
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トライアルホールディングス・亀田晃一社長:
今までの街づくりを同じようにしていてもしょうがない。住宅、オフィス、商業施設、これらがちゃんとつながっていないと意味がないと思っている。より生活者に密着した新しいコンセプトの新しい体験ができる街を作りたい。
九大箱崎キャンパス跡地の再開発に名乗りを上げた、トライアルホールディングスの亀田晃一社長が、その構想について初めて語った。
トライアルホールディングス・亀田晃一社長:
街づくりを、デジタルを活用して実現させたい。生鮮からアパレルまでGMS(総合スーパー)をやってきた業態でもあるが、お客さんのことについては非常に客観的にも数値的にも理解しているつもり。
創業当初からIT事業に尽力
トライアルの店舗で、来店客の半数が使っているのが「スマートカート」だ。
カートに搭載されたスキャナーで商品のバーコードを読み取ると、事前に連携させたプリペイドカードや決済アプリで自動的に支払いが完了する。通常のレジに並ぶ必要がないため、待ち時間は4分の1に短縮された。
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さらに、商品をスキャンせずカートに入れると、アラート音が鳴り「画面をご確認ください」との文字が表示された。カートに入っていなかったものがスキャンせず入ったことが画面で確認できる。
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トライアル・野田大輔広報室長:
主婦の方に多く使っていただいている。どの年代の方も簡単に使っていただけるカートになっている。
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「お財布を触らないでいい」「買い物して、最後に自分が買った分くらいの金額をチャージしたている」など、シニア世代の利用客も慣れた様子で商品をスキャンしていく。スマートカートでの買い物は生活の一部となっているようだ。
さらに、スマートカートのおかげで安く買い物ができると話す買い物客もいる。
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利用客:
安い商品が画面に出てくるので、それを目指して行くこともあります。クーポンとかポイントがつくので。
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この他にも、冷蔵ケースに搭載されたAIカメラに、顔認証による決済システムなど便利な買い物体験ができる。これらのIT機器はトライアルが自社で開発したものである。
創業当初からIT事業に力を入れてきたトライアルの武器は、これまでに培ってきたデジタル技術の活用だ。
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トライアルホールディングス・亀田晃一社長:
うちにとってみると「箱崎に街をつくる」というよりも、宮若でやってきた延長線上が箱崎。
廃校で新商品やデバイスの開発
デジタルを活用した街づくりのヒントが福岡・宮若市の研究施設にある。この施設は、廃校となった中学校の校舎をリノベーションして作られた。トライアルの店舗にある最先端のIT機器はこの場所で生み出されている。
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トライアルは宮若市と連携し、「リモートワークタウン」と銘打った街づくりに取り組んでいて、市内では最先端の店舗や研究機関などのオフィス、さらには温泉旅館と実証実験を兼ねた様々な施設が運営されているのだ。
トライアル・野田大輔広報室長:
通常の冷蔵ケースは冷やすだけしかできなかったが、(店舗の冷ケースは)在庫を確認したり、お客さまに商品を訴求する次世代の冷ケースを開発しようと思っていまして、その試作をここで繰り返して開発しているところです。
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中学校の旧技術室で開発が進められているのは、AIカメラを搭載した冷蔵ケースだ。
カメラとセンサーで商品を感知し、限られた人員や時間でも売れ行きの確認や在庫管理ができるシステムを目指している。
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トライアル・野田大輔広報室長:
「ITの力を使って小売りを科学していきたい」「日本の流通産業を変えたい」という人たちがここに集まってきています。宮若市をひとつのテストベッド(実験場)として、どんどん流通をよくすることをやっております。
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これらの施設には、大手食品メーカーやIT企業など40社以上が入居し、トライアルの店舗で集めたデータを共有しながら新たな商品やデバイスの開発に取り組んでいる。
将来は大手企業と合併して街づくりを
トライアルが再開発に手を上げた九州大学箱崎キャンパス跡地は、幹線道路沿いで西鉄と地下鉄の貝塚駅にも近く、交通アクセスに恵まれた場所にある。
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トライアルが目指すとするのは「新しい体験」ができる街だ。
詳細については審査中なので明かせないとしているが、「セブン&アイホールディングス」や「サントリー」といった大手企業など42社と連携して街づくりに取り組み、将来的には合弁会社を作る方針を明らかにした。
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トライアル・亀田晃一社長:
いろんな技術を持ち寄ってオールジャパンで新しい街、福岡をシリコンバレーのような場所に、アジア圏の優秀な人材が集まる場所にしようと思っていますし、グローバルな優秀な人たちが来て日本の優秀な人たちが集まってきて、マッチアップしていくと本当にいい街づくりができるんじゃないか。
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業界を横断した新たな連携で国内最大級の再開発に挑むトライアル。亀田社長は、箱崎の地の利を生かし、さらに人を集め、「福岡を日本のITの開発最前線にしたい」と意気込みを見せた。
(テレビ西日本)