ソフトバンクがAIを利用して自動販売機の補充作業を効率化。ソフトバンクが開発した「Vendy」は過去の販売データから巡回ルートを提案し、売り上げ増や業務時間削減を見込む。IoT NEWS代表の小泉氏は、AIを前提に業務を再設計する必要があると説く。
自販機の管理・作業をAIで効率化
ソフトバンクがAIを活用して、自動販売機の飲料補充で効率化を目指す。

ソフトバンクが開発した「Vendy (ベンディ)」は、AIが過去の販売データなどをもとに、自販機の陳列や補充のための巡回ルートを提案するサービス。

これまでは担当者の経験や、勘で判断していたということで、作業効率の向上により、トラック運転手の人手不足が懸念される2024年問題にも対応したい考えだ。

キリンビバレッジとの実証実験では、サービスを導入していない自販機と比べて、売り上げが5%増加したという。

業務時間でも約10%の削減が見込まれるとしていて、2025年9月までに約8万台の自販機への導入を予定している。
AIの強みを課題解決へつなげる
「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
AIを活用した試み、どうご覧になりますか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
自動販売機の状態を把握できるメリットは多く、物流の2024年問題への対処にもつながります。
例えば、巡回ルートを、交通状況や自動販売機内のジュースの在庫量に合わせて最適化することで、無駄な輸送時間を無くすことができ、業務全体を効率化することができます。
堤キャスター:
これからAIを使って、さまざまな業務効率化が進んでいきそうですね。
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
現在、さまざまなシーンでAIが活用されています。特に、人間を上回る処理能力があることや、属人性を解消することができるという意味では、多方面で活躍し出している状況です。
例えば、交通事故発生時に、事故の状況から保険料金支払いを自動判定したり、過去の不動産取引事例をもとに、ある不動産の価値を算出することもできます。他にも、タクシーの需要予測ができるなど、たくさんの事例が登場しています。
堤キャスター:
AIの活用が進んでいる分野には、なにか特徴があるのでしょうか。
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
デジタルというと、人の代わりに業務をこなしてくれるものという印象を持たれる方が多いと思います。
例えば、ダムやビルといった建物の外周をドローンで撮影し、ひび割れ箇所を見つけるなどは、人がやるのが困難なシーンで、デジタル技術を使って業務効率をあげるというものです。
また、今回の自動販売機のように、広範囲に点在して、独立して動いているものの状況を把握し、対応方針を決める、ということも人間には難しいのですが、AIは得意です。
AI前提の業務と職場環境に再設計を
堤キャスター:
働き方も変わっていきそうですね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
まさに、自動販売機のケースがそうですよね。特別な知識や経験がなくても、AIの指示通り、ジュースの補充作業や、棚の配置換えをすればよいし、作業ルート付近の交通事情や催事などのことを知らなくても、AIの指示通り配送すればよいといった、AIありきで業務の効率化が実現されます。
つまり、AIが当たり前の時代では、AIがあることを前提にした、業務フローや働き方を再設計することが重要になるのです。
堤キャスター:
AIの力を借りることで、さまざまなものの効率化が進んでいます。デジタルに完全に頼るのではなく、力を借りることで、より便利な社会に繋がっていくことを期待したいですね。
(「Live News α」3月12日放送分より)