山形県内ゆかりの力士・琴ノ若の大関昇進など、いま相撲が盛り上がっているが、実は県内で「相撲部」に所属する高校生力士はわずか2人。練習がしづらいという課題を抱えながらも、二人三脚で全国大会1勝を目指し、一生懸命稽古に励んでいる。

悩みは「体格差」2人だけの相撲部

県内で唯一、相撲部員がいる山形・鶴岡市の加茂水産高校。現在の部員は2人で、2年生の部長・田村蒼汰さん(17)と、1年生の板垣成さん(16)だ。2人は放課後、校舎内にある相撲場で週に5回稽古に励んでいる。

そんな2人だが、お互いの「体格差」に悩みも…。

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先輩の田村さんが体重125kgなのに対し、後輩の板垣さんは58kgと大きな差があるため、ぶつかり稽古が思い切りできない。部長の田村さんは「ここまで体格差があると、あまり自分の方から攻めることはできない」と話す。

過去には1人だけの部活動も…

ピーク時には部員12人を擁し、9年前まで団体戦で県大会優勝もしていた加茂水産高校相撲部。しかし、その後、部員は減り続け、4年前には一時部員が“ゼロ”に。田村さんは、2年前に入部してからずっと1人で部活動をしていただけに、後輩の板垣さんの入部がうれしかったという。

部長 2年生・田村蒼汰​さん:
去年自分1人だったので、それよりは全然いい。後輩がいると気持ちの持ちようが違う。やはりうれしいです、1人増えるだけでも

1年生・板垣成​さん:
先輩にかなわないところもあるが、負けないように必死に頑張っている

1年生の板垣さんは、新潟・村上市から毎日電車で往復2時間かけて高校に通っている。彼がこの学校を選んだ理由は「相撲部があったから」だという。

1年生・板垣さん:
小さい時に地元の祭り相撲があって、そこから相撲が好きになった。見るのも好きなんですけど、「やってみたい」という気持ちで

相撲部のある学校が近くになかったため、鶴岡まで通うことを決めたという。

1人2合!部活後の“ドンブリ飯”

部員が足りない中でも頑張る2人を、顧問の泉山史先生もサポートしている。

部活の後は、相撲場で泉山先生が炊いてくれた「鶏五目ご飯」の山盛りドンブリ飯をかっ込む。この日炊いたコメの量は4合。泉山先生は「1人2合ずつ、たぶん普通に食べられると思う」と話す。コメは、ほかの先生たちから寄贈されたものだ。

1年生の板垣さんは「おいしいっす。ありがたいです」と言いながら、おいしそうにドンブリ飯を食べ進める。

2人は週に1・2回、昼食と夕食の間に、体づくりのための食事をとる。「なべ」や「おでん」の日もあるそうで、ご飯と“一緒に”食べるのだという。

全国大会出場 まずは“1勝”目指す

今の2人の目標は、3月16日に高知県で開催される全国高校相撲選抜大会だ。

県内の競技人口が少ないため自動的に出場が決まっているが、2024年は部員が2人に増えたため「団体戦」に出場することができる。全国大会の団体戦は“3人1チーム”で争われるが、加茂水産高校チームは2人しかいないので、最初から「1敗」が決まった状態で試合が始まるという。そのため2人は、「どうしてもあと1人、新入部員が増えてほしい」と話す。

最後に2人は、全国高校相撲選抜大会への意気込みを語った。

1年生・板垣さん:
始めたばかりなので、目標は大会で1勝をすることです

部長 2年生・田村さん:
1回でも多く勝ちたいです。思い切っていけたらなと思う

県内唯一の相撲部が、二人三脚で団体戦1勝を目指す。

(さくらんぼテレビ)

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