キリンビールが、4種類のビールを飲み比べできる体験型イベントを開催する。日本ではビールの選択肢が限られている中、キリンの取り組みは市場拡大に向けたマーケティングの一環で、クラフトビールの多様性と楽しさを伝え、消費者を新しい味の世界へ導くことが重要となる。

クラフトビール飲み比べイベント開催

メーカーやブランドが違っても、日本で飲まれているビールがほぼ1種類と言われる中、新たなビールを発見できる体験型イベントが始まる。

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キリンビールが8日から、東京・渋谷区で開催するのは、クラフトビールを含め、4種類のビールを飲み比べすることができるイベント。

国内のビール市場は、ピルスナーと呼ばれるタイプが9割以上を占めているが、世界には150種類以上のクラフトビールがある。

キリンビールは2015年にクラフトビール市場に参入し、徐々に認知度や市場が広がっているが、キリンビールの調べによると、ビール類を飲む人の約8割が、直近1年間で一度もクラフトビールを購入していないという。

キリンビール スプリングバレーブランドマネージャー・久保育子さん:
カテゴリを活性化していくのは、キリンビールだけではできないことだと思っていますので、業界全体を巻き込んで、日本にクラフトビールの文化を創造していきたい。

クラフトビール自体の価値創造

「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
今回の試み、どうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
この体験型イベントもそうですが、いまキリンがスプリングバレーで行っているのは、ただのセールスではなく、価値創造のためのマーケティングなんです。
マーケティングの本質は、顧客のニーズを掘り起こして、新たな市場を広げていくことにあります。
キリンのスプリングバレーにかける思いには、日本でクラフトビールの美味しさや、選ぶ楽しさを広めてきたリーディングブランドとしての使命感すら感じます。

堤 礼実 キャスター:
確かに、ビールを選ぶ際にクラフトビールという方、増えているようですね。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
いわゆる「ビール減税」という追い風はあっても、発泡酒や第三のビールを含めたビール系全体の市場は、かつてのような伸びが期待できません。
こうした逆風の中で、クラフトビールは、創造的破壊者として成長していて、それをけん引しているのが、キリンビールのスプリングバレーです。

堤 礼実 キャスター:
クラフトビールが、これほど受け入れられた理由はなんなのでしょうか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
やはり一番の魅力は、造り手の数だけ種類があり、多種多様なビアスタイルや味わいがあることです。
キリンのスプリングバレーが成長を続けるためには、ラインアップを充実させて、豊かなバリエーションを提供していくことが大切になると思われます。
今回のイベントも、クラフトビールには選ぶ楽しさがあることを消費者に伝えることが目的なのだと思います。

クラフトビールの奥深さに導く

堤 礼実 キャスター:
クラフトビールがブームを超えて、広く深く定着していくためのポイントは?

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
乾杯の一杯がもっと楽しくなり、違う美味しさも試してみたいと、消費者に思わせる必要があります。
ワインの世界は奥深いものがありますが、クラフトビールもまた、色や香り・味わいをくらべたり、グラスにこだわることでより楽しみが広がります。
スプリングバレーというリーディングブランドを提供するキリンは、奥深いクラフトビールの世界に、多くの消費者を導くことが大切になってくるでしょう。

堤 礼実 キャスター:
その楽しみをまだ知らない方がいる。これは成長の可能性だと思います。新たな味と出会うことで、私達の生活も、より心豊かなものになっていくといいですね。
(「Live News α」3月7日放送分より)

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