野生のイノシシを効率よく捕まえようと、広島・神石高原町で全国的に珍しい実証実験が実施された。この10年間でイノシシの捕獲数は3倍に急増。陸だけでなく“空”も活用した新たな対策で捕獲数アップを狙う。

イノシシが嫌がる「超音波」発信

2月28日、神石高原町の山あいを飛行するドローン。そこにはイノシシを捕まえるための“ある装備”が施されていた。

イノシシ捕獲のために飛び立ったドローン
イノシシ捕獲のために飛び立ったドローン
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ドローンからイノシシが嫌がる超音波を出し、山にいるイノシシを追い込んで捕らえようというのだ。人間には聞こえない「超音波」を発信する装置を備えたドローン2機が、山の中腹からふもとをなぞるように飛び、真下に超音波をあてる作戦である。

神石高原町 未来創造課・中野達也さん:
イノシシに飛行の音は聞こえません。超音波にびっくりして走り出します

猟友会も待機し、リベンジに燃える

神石高原町で2012年度に546頭だったイノシシの捕獲数は、2022年度に1,628頭と10年間で3倍に急増。特に農作物の被害が深刻で、対策が急務になっている。

2023年11月に最初の実証実験を実施。ところが、2機のうち1機が地形データにはなかった木に引っかかってしまい飛行不能に…。イノシシも現れず、思うような成果を上げることはできなかった。
今回はそのリベンジだ。

神石高原町 未来創造課・中野達也さん:
前回は超音波が一定に流れていたが、今回は“バン、バン、バン”ってメリハリのある超音波が飛んでいきます

超音波を出すタイミングに変化をつけられるようにし、事前の飛行テストで安全性も確かめた。
イノシシを追い込んだ先には地元の猟友会が待ち受ける。

山にイノシシの足跡も見つかり、万全の態勢でリベンジに燃えていた。

猟友会のメンバー:
イノシシが来たら仕留めないといけない。緊張するね

ドローンは計画通り飛行したが…

計画通り、2機のドローンで30分間、超音波を出すことができた。しかし、残念ながら今回もイノシシが姿を見せることはなかった。

神石高原町 未来創造課・中野達也さん:
今回設定した山には、すでに個体が移動していて、いなかったのではないかと思います。1カ月前から場所を決めて地形を計算しながらやっていますが、前日や当日の朝に山を見て、足跡があるなど、イノシシがいそうなところにドローンを飛ばして追い込めれば一番いいかなと

神石高原町では、ドローンの機動力を高め、2024年4月以降、再びリベンジに挑みたいとしている。イノシシだけでなくクマの出没も問題になっている今、実証実験の成功に期待がかかる。

(テレビ新広島)

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