自民党の田村憲久政調会長代行と、立憲民主党の長妻昭政調会長、日本維新の会の藤田文武幹事長が3日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、派閥の裏金事件を巡る政治倫理審査会や安倍派幹部らの処分について議論を交わした。

この中で、田村氏は、捜査機関が起訴できなかった案件で新たな事実を見いだすことは難しいとの認識を示す一方、政倫審に出席した議員の対応について、「国民が納得できる結果かどうかは疑問が残る」と述べた。さらに、党紀委員会の副委員長を務める田村氏は、今後の処分の見通しについて、「除名にはあたらない」との認識を示す一方、政治的責任について処分を検討する考えを示した。

また、長妻氏は、「(政倫審での発言は)相当ウソがあるのではないかと思う。(キックバックの実態を)事務総長が知らないはずがないと思う」と指摘。藤田氏は、政倫審を通じて「派閥の幹部が責任を取る姿勢が全くないことを国民がよくわかった」「政治家が責任を取る仕組み作りが必要だ」と強調した。

一方、番組コメンテーターの橋下徹氏は、裏金作りの実態を解明するには二階派のトップを務めた二階元幹事長の証人喚問が必要との認識を示した。

以下、番組での主なやり取り。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
衆議院の政治倫理審査会に安倍派の幹部だった4人が出席。この中で会計は事務局長がやっていたと。さらに派閥の会計に一切関与していないと口を揃えたが、一連の説明で説明は十分尽くされたと考えるか?

田村憲久(自民党・政調会長代行):
国民がどう思っているかわからないが、東京地検特捜部があれだけ全国から人を集めて捜査した。それで結局起訴できなかったという案件。それを政倫審でやって検察で言われたことと多分同じようなことを話したのだと思うので、それ以上のことがなかなか出てくるというのは難しいだろうと。それは国会議員も優れた方々がたくさんいるが、捜査機関があれだけ力を入れて、多分起訴しようと思ってやったのだと思う。だが、起訴できなかった案件なので、法と証拠に基づいてできなかったものを、ここで新たなものを出すというのはなかなか難しいだろうと思う。そういう意味では、今回のこのような政倫審での対応というものは、その検察に対してどのようなことを話してきたのかということは、つぶさに国民の皆様方に理解していただけたのかなとは思うが、納得いただけるような聞き方や結果であったかどうかというのには疑問が残る。

長妻昭(立憲民主党・政調会長):
私は、相当ウソがあるんじゃないかと思う。例えば、端的に言うと、その派閥所属の議員のノルマの数は知らないと。「私は知らない」と言っているが、事務総長が知らないはずがないと思う。あるいは、この事務総長経験者の下村氏。我々も出席するよう要求したが、なぜか自民党の仕切りで下村氏は出席していない。多分、下村氏についてはいろんな思わくというか、いろいろと派閥の中でもあって、出席すれば本当のことを話す可能性が高かったと思う。今後は与野党で話し合って、政倫審は希望者が出れば、執行部は出席をコントロールしないというような合意も昨日したようなので、今後、舞台は参議院に移るが、衆議院の政倫審もまだ(追加で)あるので、きちんと解明していきたい。東京地検特捜部は3000万円という裏金の上限を決めて、それ以上だと立件ということにしているので、そうでない実体解明をしたい。そして、もう一つ抜け落ちているのが、やはり税金を払えということで、(裏金の)使い道が一体どうなっているのかというのは、もっと深掘りしていきたい。一部は明らかになったが、さらに深掘りする必要があると思う。            

藤田文武(日本維新の会・幹事長):
私も長妻氏と同じように、かなりウソというか、曖昧な答弁が多かったなと。確かに一人1時間という時間の中で真相に迫るというのは非常に難しい。ただ、今回の政倫審を受けてわかったのは、これだけ大事件になっていて、意図的に、組織的に違法行為を推奨し、または強制してきたことについて、派閥の幹部が責任を取るという姿勢が全くないということを、国民がよくわかったということだ。事務総長はお金に触らない、というのは少し疑問だなというふうに普通に考えて思う。大変重要な決断を事務方だけで意思決定できるとは思えない。特に政治家というのは、「俺は先に聞いてないぞ」と言って、だいたい文句言うような人種が多いので、こういう時だけ自分は知らなかった、という風な論法は通用しないと思うし、逆に事務方だけで本当に決めていたのであれば、それはそれで、非常に問題な運営ガバナンスじゃないかとも思う。

田村氏:
政治家としての責任として、例えば、自分ところも(裏金の)受け手になっている幹部がいる。すると他の事務所では、やっぱり事務方が「これはどうするんだ」と。「おかしいじゃないか」といって、政治家に相談したりする。もちろんこの安倍派の事務局長と、幹部の間で話がなかったっていうのも、やはり国民はおかしいと思うし、それぞれ自分の事務所でもそういう話がなかったと言われているが、そこをちゃんと説明していかないと、国民からはやはりこの話はおかしいんじゃないかと思われても仕方がないと思う。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
今回実体解明がなかなか進まなかったという意味では、今後、参考人招致とか承認喚問とか、必要だというか。

藤田氏:
当然、ありえると思う。それを誰にするかというのは国会協議で進むが、やはり政治家が責任をしっかりと取るという姿勢が必要だし、そのための仕組みが必要だというふうに思うので、その具体的な議論は今後進んでいくが、例えば、連座制をやろうという話は多分進むと思う。これは会計責任者に罪をなすりつけないと。我々維新の会は、会計責任者を衆議院議員、参議院議員、全員自身がなりましょうという内規を先日出した。これでもう逃れられないので、言ったからには先駆けてやる。これは全党がやったらいいと思う。そして、法改正に進んでいくということをやりたいと思う。

橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
刑事責任の話と、政治責任の話は別で、実態解明は国会での証人喚問だ。政治責任の話は、お金を使った人の責任をやはり呼ばないといけない。だから、二階氏がやっぱりこれは答えないといけない。お金を使ってない人が、私は関知していません、関知していません、じゃなくて、お金の使い方を決めた人の倫理的な責任を問うべき。絶対、二階氏は何か答えないといけないと思う。

田村氏:
国会でこれは議論していただければいいと思いますね。

松山俊行キャスター:
この(安倍派幹部の)処分の基準をめぐっては、不記載にした金額が大きい人が責任取るべきとか、あるいは、一回辞めたキックバックをもう一回再開するといったことへの責任がある人に対して重い処分を下すべきとか、いろんな意見があるが、自民党の中で実は多い意見は、こうした処分に至る前に関係者、特にあの安倍派の幹部などについては、自発的に離党してもらい、次の選挙は無所属で出てもらって、(当選して)戻ってきたら後で自民党に公認するというのが一番クリアなんじゃないかという意見が出ている。こういった意見が出ていることについては?

田村氏:
私は党委員会の副委員長やっているので、党紀委員会に来れば判断をしていかなきゃいけないと思うが、刑事処分されていないので、例えば、起訴・逮捕されていれば、自民党は除名だとか、いろんな規約の中で決まってくるが、今回はそれには当たらないと。それから、もうひとつ政治的責任という話にもなると思う。政策グループの中で、こういうことが起こって、党にも大変な迷惑をかけていると。じゃあ、それはどの段階なのかっていうことを判断して、我々は党紀にのっとり対応しなきゃいけないという話。そこにあんまり裁量があればヘンな話になる。公党なので。こうやって今話が出ているのは、そんな中、党でやれる処分というのが一定程度、独善的には決められないので、(指摘があったような)そういう意見も出ているのかなというふうに思う。

松山キャスター:
党紀委員会で基準を決めてバシッと処分するというのは、なかなか難しいということか。

田村氏:
要は党に迷惑をかけたということでの処分になるので、除名だとか、そういうところには行くかというと、今までそういうところで、反党行為があれば別だが。で、今回はそういう話じゃないので、なかなかこれ、党紀副委員長の私が勝手に決める話じゃないので、民間人の方々だとか、それから、法曹人も含めて、その中に入ってもらい決めていくという話だと思う。

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