島根・松江市の認可保育園で児童虐待にあたる“不適切な保育”があったとして、2月29日、園児を預けていた保護者らが会見に臨んだ。
一方、保育園を運営する事務局長は、「『やってないこと』を『やっている』とすることはできない」と否定し、両者の主張が真っ向から対立している。
“保育園が怖い”と泣き叫ぶ当時5歳の女の子
園児の家族が撮影した2021年の映像には、“保育園が怖い”と泣き叫ぶ当時5歳の女の子の様子が映っていた。
この記事の画像(10枚)「保育園こわいから嫌なの!」
「何が怖いの?」
「こわい。やすみたい! やすむってば!」
「もう楽しくない保育園なんか。優しい先生なら行きたい…」
当時通っていたのは、島根・松江市の認可保育園。
この施設で児童虐待にあたる不適切な保育があったとして、2月29日、園児を預けていた保護者らが会見に臨んだ。
松江市在住の夫婦:
次女がですね、保育園の中でトイレに閉じ込められる。
5歳の娘からしたら、本当に出られるともわからない、本当に死ぬかもしれないという恐怖をそこで味わった 。
保護者によると、次女が年長クラスだった2021年度、保育士が園児をトイレに閉じ込めたり、2階のテラスに鍵をかけ園児を閉め出すなどといった“不適切な保育”があったといい、次女は登園拒否状態になり、途中退園することになった。
その後、次女は小学校に入学したが、小学1年生の3学期に先生に怒られたことが発端となり、保育園での恐怖を思い出す“フラッシュバック”が発生。
保育園通園時のトラウマによる「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と診断され、現在も不登校の状態が続いているという。
保護者が要因として挙げるのが、保育園年長時の担任保育士の存在だった。
松江市在住の夫婦:
もう目の前にいるはずのない、虐待をした担任の先生の幻に今もおびえているような状況です。
保護者によると、この保育士が担当する園児の途中退園が相次いだという。
別の保護者からは…、
3人の子どもを通わせていた母:
「あの先生は怖くて怖くてしょうがなかった」っていう話を当時していました。
5世帯の要望を訴える会見後、園側は「否定」
29日の会見は、被害を主張する保護者など、5つの世帯の要望を合同で訴えるものだった。
この会見後、保育園の運営法人の事務局長は、FNNの取材に対して、「真摯(しんし)に受け止めて詳細な内部調査を行ったので、『やっていない』ことを『やっている』とすることはできない。(当該の保育士は)私の印象としては非常に生真面目な職員。誤解を受けるようになったことは残念に思っている」と答えた。
会見に先立って保護者らは、松江市の担当者に再発防止などを求める要望書を提出。
市は以前にも、保護者らの要望を受け、保育園に対して監査を行ったが、松江市こども子育て部・桑原賢司次長は「完全に適切であったという…、不適切では…、不適切とまでは言えないということでございます。これは好ましい保育だとは思っておりませんが、そこまでは言えなかったというふうに判断しております」と29日午前、松江市役所でコメントした。
(「イット!」3月1日放送より)