古関裕而さん作曲も廃れてしまった「塩釜市民歌」

宮城・塩釜市の市民コーラスグループが披露した「塩釜市民歌」。
79年前、塩釜市の市制施行を記念して作られた。

作詞は一般公募ながら、曲を作ったのは、昭和を代表する作曲家・古関裕而さん。
古関さんは福島県出身で、夏の高校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」など、5000曲余りを作曲。
NHKの連続テレビ小説の主人公のモデルとなり、あらためて功績に注目が集まっている。

しかし、塩釜市民歌は歌い継がれることなく、廃れてしまった。
その原因は…。

「戦後は詞に不適当な部分が…」

佐藤健太郎さん:
戦争の歌だと思って、わたしたちは。それから、ずーっときて、この前、コーラスグループの歌を聞いて、初めて市民歌なんだと

塩釜市で生まれ育ったボランティアガイドの佐藤健太郎さん(86)。
久しぶりに披露された歌を驚きながら聞いていた。

佐藤健太郎さん:
時代背景が違うと歌の受け取り方が違うのかな

歌が作られた当時、小学校2年生だった佐藤さん。
全校児童で隊列を組み、歌いながら行進した記憶が忘れられないという。

佐藤健太郎さん:
ちょっと歌ってみますか。「光湧きたつ蒼潮(あおしお)の飛沫(しぶき)に映(は)えて 旭(ひ)は昇る。ここ東北に翼賛(よくさん)の旗かぜ騰(あ)がるわが都仰げ栄えある塩釜市」と歌って歩いた覚えがあります

当時は市民歌ではなく、戦争の歌と思っていたという佐藤さん。

佐藤健太郎さん:
戦争が始まった以上、勝たなきゃならない。勝つために一億一心ということでまとまってね

市の歴史を記した塩釜市史にも、市民歌について「戦後は、詞に不適当な部分があってすたれた」と記されていた。

塩釜市・佐藤光樹市長:
戦争につながる言葉「翼賛の」とか入っているところもあるので、この歌を歌い続けるのは難しかったのでは

市制施行80周年記念で市民歌復活へ

戦争の記憶とともにあった塩釜市民歌。
塩釜市は2021年、市制施行80周年となるのを前に、この歌の記憶や当時を知る人の体験談をまとめるプロジェクトを始めた。

塩釜市・佐藤光樹市長:
わたしたちが子どもの時に聞いたかというと、1回も聞いたことがなかった。何らかの形で、こういうものがあったと歴史的事実を継承していくことが必要

終戦から75年。佐藤さんの思いにも変化があった。

佐藤健太郎さん:
時代で違ってくるのかな。同じ文言でもね。あの時代で聞くのと今では同じ文言なんだけど違うね

これからは市民歌として、自身が務めるボランティアガイドなどで歌い継いでいきたいと話す。

佐藤健太郎さん:
ガイドさん歌ってと言われれば、どこでもお客さんの要望で歌って、まして古関裕而さんの歌だとなれば、胸張って歌っていければいいのかな

「塩釜市民歌」
光湧きたつ 蒼潮の
飛沫に映えて 旭は昇る
ここ東北に 翼賛の
旗かぜ騰がる わが都
仰げ栄えある 塩釜市

(仙台放送)