ロシアによるウクライナ侵攻開始から2月24日で2年となった。
ウクライナは反転攻勢を続けるが、領土奪還は進まず、ロシア軍によるウクライナ領の実行支配が続く。ウクライナ軍は弾薬不足の状況にあり、軍事支援の遅れが戦況に影響しているとされる。
この記事の画像(7枚)最大の支援国の一つアメリカでは追加支援に必要な予算案をめぐる議会の審議が暗礁に乗り上げるなど欧米各国の「支援疲れ」が指摘される。
ウクライナ支援「継続すべき」7割
FNN世論調査では、今後のウクライナ支援のあり方について聞いたところ「西側諸国が一致して支援を継続すべき」が34.3%、「各国の判断で、支援を継続するべき」37.6%となり、支援を継続するべきとの意見が7割を超え、その中でも34%は「西側諸国が一致する」必要があるとの意見だった。
【今後のウクライナ支援】
西側諸国が一致して支援を継続するべき 34.3%
各国判断で、支援を継続するべき 37.6%
各国判断で、支援を縮小しても良い 16.9%
西側諸国が一致して支援を縮小しても良い 5.4%
日本のウクライナ支援については、直近では2月19日、東京都内で「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開かれ、ウクライナの経済復興を官民で支援する方針を示した。岸田首相は「未来への投資だ」と掲げ、地雷除去・不発弾対策への158億円の無償資金協力やインフラ復旧・復興への協力など7分野の重点支援をまとめた。
一方で、戦闘が続くウクライナの防衛への支援については、日本は侵攻が始まった翌月の2022年3月に、防弾チョッキ、ヘルメット、その後は自衛隊の高機動車など100台規模での支援をおこなったほか、発電機や、毛布、非常食など“日本ならでは”の人道支援・殺傷能力の無い装備の支援を行った。
ただ、殺傷能力のある武器の提供は、防衛装備移転三原則で認められていないため、欧米のような弾薬、戦車の提供は行っていない。
こうした中、2023年の12月に政府は防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、他国のライセンスで日本国内で生産する「ライセンス生産武器」について、ライセンス元の国に輸出することを可能とした。具体例では、米企業のライセンスで生産する地対空誘導弾「パトリオット・ミサイル」をアメリカに輸出することが可能となった。これに伴い、アメリカがウクライナに提供する米製の「パトリオット・ミサイル」の在庫補充を日本が担うことで、間接的に、ウクライナへのミサイル支援を支えることができるようになった。
さらに、政府・自民党内にはウクライナの対空防衛支援として第三国への武器輸出の解禁を検討する動きがあるが、与党公明党などから慎重意見もあり実現に至っていない。
日本からの防衛装備品の輸出について 7割が「条件次第で輸出を容認」
世論調査で、日本の防衛装備品の輸出方針について聞いたところ、「輸出は認めるべきではない」27.8%、「同盟国や友好国に限り輸出を認める」48.7%、「紛争が起きている国以外は輸出を認めて良い」9.5%、「紛争が起きている国を含めて輸出を認めて良い」7.7%となった。まったく輸出を認めるべきではない、との考えが3割、条件次第で武器輸出を容認する意見が7割弱となった。その条件としては、同盟国・友好国に限るというものが最も多い結果となった。
自民党支持層に限ってみてみると、輸出を認めるべきではないが2割、条件次第で輸出を容認する意見は7割5分となり、なかでもウクライナなど紛争が起きている国を含めて輸出を容認する意見は1割を超えた。また、公明党支持層に聞くと輸出を認めるべきではないとの意見は、17%、同盟国以外への輸出についは「紛争が起きている国以外は輸出を認めて良い」が15.5%、「紛争起きている国を含めて輸出を認めて良い」が18.8%と支持政党層別では、公明党支持層が装備品の他国への輸出について許容する立場を自民党層以上に強く示した。
【日本の防衛装備品の他国の輸出の方針について】
全体 自民支持層 公明支持層
輸出は認めるべきではない 27.8% 20.5% 16.9%
同盟国・友好国に限る 48.7% 52.7% 39.2%
紛争国以外は認めて良い 9.5% 9.7% 15.5%
紛争国を含めて認めて良い 7.7% 11.6% 18.8%
現在、自民・公明間では、日本・イギリス・イタリアで共同開発する次期戦闘機を中心に第三国への輸出解禁をめぐり協議が行われている。
前述の防衛装備品全般の第三国への輸出について、公明党支持層が自民党支持層より許容していることを示した調査結果とは違い、国会の場で公明党は、殺傷能力がある、中でも次期戦闘機の第三国への輸出解禁には慎重な立場で、自民党との協議は先行きが見えていない。
東アジアの有事に備えて
日本の防衛装備品の輸出を推進する自民党の考えは、ウクライナなど侵攻を受ける国への支援を実現させたいと言うことがある。単に侵攻を受ける国を助けたいというものではない。今後厳しさをます東アジアの安全保障情勢の中で、日米同盟を前提として、単独で防衛が難しい日本として、東アジアでの有事の際に、西側諸国からの支援を受ける防衛の基盤となる関係作りにつながるというのが理由の一つだ。
一方で、殺傷能力のある防衛装備の完成品を西側諸国と同様に、第三国に輸出することについて公明党からは「日本の安全保障にとってどういう意味があるのか」「いったん輸出を容認すると歯止めがきかなくなる」として慎重な立場を示している。