2月23日に64歳の誕生日を迎えられた天皇陛下。3月に学習院大学を卒業し、4月から日本赤十字社で嘱託職員として勤務される長女・愛子さまについて、会見でこう述べられた。

会見で
会見で
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「愛子には、この4月から、日赤の一員として多くの人のお役に立てるよう努力を続けてほしいと思いますし、社会に出ると大変なこともあるかもしれませんが、それを乗り越えて、社会人の一人として成長していってくれることを願っています」

御所・小広間にて(2023年12月23日)
御所・小広間にて(2023年12月23日)

これまでも、折に触れて愛子さまのご成長について語られてきた陛下だが、ひとりの父親として我が子とどう向き合い、どう導いてこられたのか。これまで、子育てに関するプライベートが報じられる機会は限られていた。

そんな両陛下の子育ての一端を、登山を通じて垣間見た人物がいる。

危険な難所も…朝日岳に天皇ご一家が

両陛下と愛子さまに栃木県・那須の山々を案内した、山岳会員の髙根沢勲さんと、相馬芳子さん。ふたりとも那須の自然に長年親しみ、山岳救助隊員としても活躍してきた、登山のエキスパートだ。

相馬芳子さんと髙根沢勲さん
相馬芳子さんと髙根沢勲さん

「朝日岳で両陛下(当時は皇太子・皇太子妃)と愛子さまを、案内してもらいたい」

そんな依頼が二人のもとに飛び込んできたのは、今から11年前の2013年。当時、陛下は53歳、愛子さまは小学6年生の夏のことである。

登山のエキスパートである二人にとっては光栄な依頼だ。しかし、その登山ルートを聞いて内心穏やかではなかったという。標高1896メートルの朝日岳は荒々しい岩肌が魅力の山だが、危険を伴う難所もあり、両陛下が望まれたコースにはその難所が含まれていたからだ。

荒々しい岩肌が続く朝日岳の難所
荒々しい岩肌が続く朝日岳の難所

相馬さん:
朝日岳といったらやっぱり鎖場があって、道幅が狭くて危険で、すぐ下が崖になっているんですね。そういう箇所が多いので、すごく心配しました。天皇陛下はどこの山でも結構歩いてらっしゃるので、その点は心配してないんですが、愛子さまにはやっぱり気を遣いましたね。

髙根沢さん:
(朝日岳の難所は)ちょっと危険という感じで、「もしも落ちたら…」って言う心配もあるので、ちょっと緊張の感はありました。実際になかなか渡れないような感じの鎖場が結構あるし、ちょっとよそ見して、滑ったら終わりです。

朝日岳の鎖場
朝日岳の鎖場

「万が一のことなど、絶対あってはならない。難所をご案内するときには、細心の注意を払わなくては…」そう心に誓って迎えた登山当日、ふたりの前に現れた両陛下と愛子さまは、やさしい笑顔をお見せになり、緊張でガチガチだった二人をむしろリラックスさせたという。

愛子さまは当時小学校6年生 2013年撮影
愛子さまは当時小学校6年生 2013年撮影

さらに二人を驚かせたのは、険しい山道を歩いているときに両陛下が見せられる、他の登山客に対するお心配りだった。

相馬さん:
陛下とか雅子さまは一般の登山客に、自分から寄って行ってお声がけをされるんです。陛下は「今日はどこまで登られたんですか?」とか、雅子さまが「今日はお天気がよくて良かったですね」とかおっしゃっていたのが印象に残っています。自分たちが先に道を通ろうともせず、他の方々に道を譲られるんです。そういうのが本当に素晴らしかったです。

愛子さまが見つめた陛下の背中

登山のマナーをしっかり守り、登山者たちを気遣われる…そんな両陛下の立ち居振る舞いを、愛子さまはいつも後ろからご覧になっていたという。その様子が相馬さんには、両陛下が愛子さまに対して“背中で教えている”ように見えたという。実際、山道の歩き方ひとつとっても…

相馬さん:
(愛子さまは)お父様の歩き方をよく見ていらっしゃるんです。(両陛下が)言葉に出して「こうですよ。ああですよ」と言わなくても、陛下の歩く足跡とか、雅子さまがそれを見習って同じようなところに足をつくとか、そういうのを愛子さまは黙って見ていて、よく覚えていますよね。ですから、足の運びがすごく滑らかで、初めて朝日岳に登ったという感じがしないんです。

愛子さまは幼い頃から登山に親しまれてきた 2012年撮影
愛子さまは幼い頃から登山に親しまれてきた 2012年撮影

そんな愛子さまは、二人が心配していた朝日岳の難所にさしかかり、切り立った崖の上にある細い道を前にしても、動じず平然とされていたという。

相馬さん:
鎖場で道が狭いですから、人が一人通るのがやっとの道なので、私たちは心配して「崖に落ちないように」とか思いながら見ますけれども、愛子さまは本当にスタスタと平気で登られていました。不安とかそういうのはなさそうでしたよ。

先に難所を歩いていかれた陛下と、その背中を後ろから見つめ、陛下の足跡を辿るように、恐れることなく歩かれたという愛子さま。その無言のやりとりのなかに、父から娘への、言葉で言い表せないメッセージがあるように相馬さんは感じたという。

相馬さん:
山だけじゃなくて、世の中のこともそうなんだよ、というのを天皇陛下は体で教えられているのかなと思いましたね。社会には危険なこと、大変なこともいっぱいあるんだよ ということを、山を登りながら(伝えようとされていたのではないか)…
鎖場を歩かせたりしたのも、そういうことからなんですかね。穏やかな安全な道ばかりではなくて、そういう(大変な道がある)ことを体で覚えてほしいと思われたのかなと感じましたね。

険しい山道を登った先にある難所をくぐり抜けられた両陛下と愛子さまは、やがて朝日岳の山頂に到着。眼下に広がる、雄大な景色をゆっくりと眺められた。

愛子さまも、汗をかいて登った山頂から見る初めての光景を気に入られたのだろうと、髙根沢さんと相馬さんは振り返る。

春からは日本赤十字社の職員に
春からは日本赤十字社の職員に

あれから11年…、この春、愛子さまは公務をしながら日本赤十字社の職員として働く道を選ばれた。日頃から福祉活動全般に関心を持たれるなかでの選択。この先どんな険しい道が待ち構えていようとも、両陛下の背中を見て育ってきた愛子さまならば、きっと確かな足取りで前へと進んでいかれることだろう。朝日岳の難所を案内した相馬さんは、そう力強く語った。

2月24日(土)にフジテレビで放送する『皇室スペシャル2024』(午後3時35分~4時30分)では、愛子さまの学習院大学ご卒業を記念し、愛子さまの教育にかける“両陛下の思い”にスポットを当てる。小学生の愛子さまがなぜ危険な山道を…そこに込められた両陛下の思いとは?初公開写真やエピソード満載でお伝えする。

さらに、幼少期の愛子さまが受けられた“独自のカリキュラム”も明らかに。“ユニークな授業”に託された両陛下の思いと、そこで光った愛子さまの個性を当時の関係者が証言。心温まる皇室秘話と、懐かしの映像の数々、ぜひお楽しみに! 

フジテレビ
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