2024年春に社会人となる学生を対象に行った「理想の上司」についてのアンケートで、内村光良さんが8年連続の男性1位となった。
2位は初登場の大谷翔平選手で、実力や頼もしさが評価された。
若手世代のキャリア観の変化により、理想の上司像が“関係重視型”へ変化している。
理想の上司は「関係重視型」
明治安田生命保険が、2024年春に新入社員となる学生を対象に行った「理想の上司」についてのアンケート結果を発表した 。
この記事の画像(12枚)男性1位に選ばれたのは、タレントの内村光良さん。「親しみやすい」、「頼もしい」といったイメージから、8年連続・不動の1位となっている。
女性の3位となった、いとうあさこさんは、明るく場を盛り上げる姿に「親しみやすさ」や「頼もしさ」を感じる人が多いようだ。
中でも2024年の注目は、やはりこの人。初登場で男性2位となった大谷翔平選手。
発言や、振る舞い、人柄でチーム引っ張る姿が「実力がある」、「頼もしい」として多くの支持を集めた。
その大谷選手の「元上司」、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンを優勝に導いた栗山英樹監督も「優しい」、「指導力がある」として5位に選ばれている。
また、「最も理想とする上司のイメージ」について、これまでの調査を比較したところ、時代とともに変化しているということもわかった。
平成後期の2016年は、「知性的」、「頼もしい」、「姉御肌」といった部下を引っ張る“率先型”が理想だったのに対し、令和では「親しみやすい」、「面白い」、「優しい」といった親身に寄り添ってくれる“関係重視型”が求められている、と分析している。
若手は“キャリア安全性”に価値
「Live News α」では、新しい働き方を研究する、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
── 今、引っ張ってくれる上司よりも、寄り添ってくれる上司が求められているということですが、いかがですか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
理想の上司像が変わってきている背景には、若手世代のキャリア観の変化がある。
若手世代にとって重要なのは「キャリア安全性」。
これは近年よく使われるようになった言葉なのだが、「この会社に居続けても、自分のキャリアは積み重なり安全であろうという感覚」のことをいう。
つまり、この会社にいることで自分の市場価値が上がるのか、自分にスキルはつくのか、自分のキャリアは理想に近づいているのかと考えている。
堤 礼実 キャスター:
── 具体的には、上司は部下に対してどうすればいいのでしょうか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
「キャリアの安全性」に価値を見出す世代に対して重要なのが、「不安」や「焦り」に対処すること。例えば、「いまの仕事はどんなスキルが身につくのか」、「どんなキャリアを歩むのかわからない」といった不安の解消。
あるいは、SNSなどで周囲の情報が必要以上に入るので、同世代の他人と比べて自分はスキルがついているのか、といった焦りをどうなくすか。
常に、自社で役立つかよりも、どこでも役立つかを重視するようになっているからこそ、不安や焦りをなくせるよう、丁寧にコミュニケーションを取れる人の存在を求めているということだろう。
「ここで働きたい」環境作りが最優先
堤 礼実 キャスター:
── 会社を移ることが珍しいことではなくなったことも、影響しているのかもしれませんね?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
今の新卒は、入社と同時に4割が転職も視野に入れているというデータもある。これはすぐ辞めたいという話ではなく、それくらい自社だけではなく、自分にとってベストな環境を社内・社外にかかわらず、考え続けているということ。
ある意味、会社に頼るという感覚がないともいえる。だからこそ、どこにいってもやっていけるのに、「面白いから今の会社に残る」という選択をしてもらえるかが大事。
会社や上司としては、「ほかに行くよりもここにいるのが、一番キャリア安全性がある」と思われる環境作りが最優先事項になってきている。
堤 礼実 キャスター:
仕事をするうえで、仲間の存在はとても大きなものです。
何をするかも大切ですが、誰とやるかによっても、満足度は大きく変わるはずです。
良い成果は良い関係性の上に築かれるからこそ、環境づくりを大切にしたいですね。
(「Live News α」2月21日放送分より)