世界的な冒険家・故植村直己氏の精神を継承し、勇気ある冒険活動を行った個人やグループに贈られる「植村直己冒険賞」の発表が16日都内で行われ、前人未到のヒマラヤ山脈の渓谷や謎に包まれたイラクの巨大湿地帯を探検した2組4人の探検家が選ばれた。
渓谷探検家の田中彰さんと大西良治さんはヒマラヤ山脈にある前人未到の渓谷「セティ・ゴルジュ」を探検し、その谷の全貌を明らかにした。現地では「悪魔の谷」と呼ばれ、一番深いところで400メートルもあり、下に降りると空が見えない「凄まじい谷」だったという。

田中さんは、「未知の場所は美しい」と自分の活動の一番の動機を明らかにした上で、「植村直己さんは自分にとって特別な存在、その名前を冠した賞をもらうのはすごくうれしい」と話した。

もう一組の受賞者である探検家の山田高司さんと高野秀行さんは、イラクの巨大湿地帯、アフワールを6年間4度にわたって現地調査し、戦禍などで外の目に触れられることなく謎に包まれた現地の暮らしや伝統を本にまとめた。

高野さんは、「現地では4500年前とほぼ変わらない生活様式で暮らしている。それを紹介することができたのはうれしい」と語った。

植村直己冒険賞は、植村氏の出身地である兵庫県豊岡市が主催するもので、1996年から「未知の世界を切り拓いて人々に夢と希望を与える行動」を表彰している。